2014

02-11(al-Ahram)エジプト政府はGERD建設問題に関して、エチオピアとの交渉が失敗したと発表した。水資源・灌漑省は声明で、「エジプトとエチオピアの代表者間での交渉会談は終わった。懸案となっている問題の解決のためエジプト代表団が提案した全ての提案が、エチオピアの不当なまでの拒否にあった」と述べた。

08-28(al-Watan News)シーシー大統領は、GERD建設に関するロードマップを関係機関に提示した。*2014年9月から2015年3月までに、3カ国国民委員会を設立し、コンサルタント会社の調査を監査する旨。調査期間は半年。

09-04(al-Hayat)エジプトのマガーズィー水資源相は、エチオピアが3カ国の調査の結果と国際法を順守することが決まったと述べた。*また、2013年の調査後、エジプトが重視したのは、ダムによる下流への流入量の影響とダムの環境と経済に対する影響の調査であり、そのために過去3回ほど、ハルツームで交渉したが、成功せず、2014年1月にこの調査に関する訪問は終わってしまった。これ以降、交渉は暗礁に乗り上げた。
2013年当初、上記の調査をエジプトは1年かけて行うつもりであったが、ダム建設の状況に鑑みて、半年で終わらせようとした。

09-13(al-Watan News)『ワタン・ニュース』は、ムハンマド・ナスルッディーン・アラーム(2009年3月から2011年1月まで水資源・灌漑相)によるGERD建設に関するコラムを掲載した。*2011年5月、エジプトの議会使節団は、エチオピアを訪問した。これは、ナフダダムの施工式が行わた数週間後のこと。この使節団には、1月25日革命の象徴的存在も含まれており、そのほとんどは、ナイル川問題の知識や経験を欠いていた。さらに、使節団員のほとんどは、ナイル川諸国との事柄は、すべてムバーラクとウマル・スライマーンに責任があると考えていた。*この訪問時、エチオピア側は、エジプトの新大統領が決まるまで、アンテベ協定の調印を延期すると使節団に約束した。
 また、3か国専門家委員会の設置にも合意した。*この訪問を受け、当時のエジプトのウサーム・シャラフ首相は、エチオピアを訪問した。それから3カ月後、ズィーナーウィ―がエジプトを訪問し、アンテベ協定への加盟をエジプトに訪問した。そこで同氏は、ムバーラクの人種差別的な考えや歴史的権利を批判した。この批判の中には、1902年のエチオピア王とスーダン、エジプト、イギリスが調印した協定も含まれている。
こうした相互の動きを受けて、エジプトの政治エリートと若者は、エジプトの水問題は解決した、エジプトのナイル川からの取水量は減らず、むしろ増加すると喜んだのだ。こうした認識は、彼らにナイル川問題の知見がなく、歴史的な複雑性に対する知識がなかったために生じた。また、この時期、コンゴ川の水をナイルに合流させて、エジプトの取水量を3倍にする計画が持ち上がったことで、彼らは油断したのだ。

 3カ国専門家委員会の設立は、ウサーム・シャラフ政権時に行われたが、そこでエチオピアは3つの条件を提示した。第1に、エジプトが、ダムの建設を承認すること。第2に、同専門家委員会の報告書は、法的な義務の生じるものではなく、あくまで助言として扱うこと。第3に、同委員会の作業は、エチオピアによるダム調査の参照のみ行い、その他新規に調査を実施しないこと。この条件をエジプト政府は合意した。そしてヒシャーム・カンディール首相(当時のエジプト政府)はスーダン政府と共に、ダムの建設調査を行う前に、ダム建設を承認してしまったのだ。エジプトの専門家や教授陣は、この動きに対して拒否反応を示し、ダムのエジプトに対する損害をまとめた報告書を提出した。また、当時のエジプト革命政府からはGERDに対する楽観的な態度が漏れ出していた。たとえば、GERDは3カ国の成長と協力の軸となるとの考えだ。あとは、エチオピアが、コップ一杯分の水も、エジプトに減らさないと約束したことを信じた。

09-21(Arabiya Net)国民専門家委員会の設立作業が、アディスアベバで開始始まった。委員会は12人の専門家によって構成される。

09-22(Sky News Arabiya)and (al-Mesryoon)エジプト外務相はエチオピオを訪問し、GERDに関して協議した。そこで3カ国国民委員会の作業について合意した。*半年間で2つの案件について調査する。なお、エチオピアは、この委員会に外国人の専門家が入ることを拒否したというが、10月の時点で、4名の専門家が入ることになった。

11-19(al-Mesryoon)スーダンのムーサー水資源相は、スーダンはいかなる国に対しても、ナイル川の取水量1リットルたりとも渡さないと述べた。また、1959年にエジプトと交わした協定を非難したうえで、GERD建設を支持すると発表した。