主な刊行物・研究成果

現代中東政治研究ネットワーク CMEPS-J.netの共同研究プロジェクト、メンバーが発表した主な刊行物・研究成果です。

  • HAMANAKA, Shingo (2017) “Sensitivity to Casualties in the Battlefield” Asian Journal of Comparative Politics, Online First.
    This study examines how long the Israeli people support the government for an ongoing war. The rally-round-the-flag phenomenon, proclaiming that wartime governments can enjoy majority public support at the beginning of wars, is a challenging topic in the field of International Relations. Although this effect was noticed at the time of the Second Lebanon War, it remains unclear which particular condition determined the duration of public support in Israel….
  • Yutaka TAKAOKAWhat is the Threat of “Returnees” from the “Islamic State”?
    25th Octorber 2017 Yahoo! news JAPAN.
    Many “Islamic State” combatants and their families are “returning.” Does such repatriation pose internal security threat to various destination countries? It seems a very simple issue. Without “departure,” however, there could be no return. Due to ignorance and misunderstanding of this issue, debates on its root cause and necessary countermeasures usually become misdirected…
  • 髙岡豊「「勝ち組」の移民・難民は何を語るのか」Yahoo!ニュースJapan個人、2017年8月20日。
    ひところほど話題にならないにせよ、EU諸国にとっては中東からの移民・難民が流入する問題は重要な問題である。特に、シリア、イラク、パレスチナのような紛争地からやってくる移民・難民たちの問題は、時折発生する「テロ攻撃」にまつわる「ネタ」として利用される「移民・難民問題」よりもはるかに切迫した問題であり、「ネタ」とは切り離して分析する必要がある。一方、現実の問題として、中東の紛争地域からスウェーデンに到達し、同地で保護を受けることができる者たちは、紛争地やその周辺に在住する同胞たちから見れば明らかに「恵まれた」人々で、越境移動の「勝ち組」ともいえる人々である。彼らは、自らの現状や、多数あるはずの移動先の候補からいかにしてスウェーデンを選択した理由について、どのような経験と意識を持っているのだろうか?
    English version “What do the “winning” immigrants and refugees have to say?
  • 髙岡豊「シリア:「現地の声」をどう聴くか」Yahoo!ニュースJapan個人、2017年7月7日。
    イラク軍のモスル奪回作戦をはじめ、イラクとシリアの各地で「イスラーム国」の占拠地域が奪回され、同派の敗勢は明らかである。そうした中、イラクでも、シリアでも、紛争の当事者は各々「イスラーム国」後を見据えた行動を強めている。また、筆者がたびたび指摘したとおり、シリア紛争についても諸当事者が「紛争後」の状況を見越した行動に出ている。イラクでのクルディスタン地区の独立を問う住民投票問題、シリアでのトルコ軍によるYPG攻撃、アメリカ軍によるイラクとの国境地域の占拠のような問題は、みな「イスラーム国」討伐後のイラクやシリアでどれだけ有利な立場に立つかをそれぞれの当事者なりに判断した結果生じたものである。・・・
    English version “How should one view the current status of Syria and the awareness among Syrians?
  • 浜中新吾「イスラエル人の国際秩序観-政治的認知地図の変容-」『龍谷法学』49巻4号、2017年3月、pp.189-215。 「イスラエルはかつてなく安全な状態にある」とエルサレム在住の研究
    者マーティン・クレーマーは喝破した(クレーマー2016:20)。2010年末
    から2011年にかけて中東地域を覆った体制転換を求める大衆運動、いわゆ
    る「アラブの春」後、チュニジア・エジプト・イエメン・リビアの体制は
    崩壊した。シリアは現在まで内戦が継続し、周辺諸国の介入を招き、レバ
    ノン・ヨルダン・トルコには数百万規模のシリア難民が押し寄せた・・・。
  • 青山弘之「政治的認知地図の変容に見る「シリア内戦」の影響」『国際情勢紀要』第87号、2017年3月、pp. 105-114。
    「アラブの春」がシリアに波及し、「シリア内戦」と呼ばれることになる重層的な紛争が発生してから6年が経った。アラブ世界随一の政治的安定を誇り、レバノン情勢、中東和平問題、そしてイラク情勢に少なからぬ影響力を行使してきたシリアは、この紛争のなかで「強い国家」から「弱い国家」に転落、同国の武力衝突、停戦プロセス、紛争和解に向けた政治プロセス、そして「テロとの戦い」は、「内戦」に干渉し続ける諸外国の手に委ねられている・・・。
  • 青山弘之「地域研究が読み解く世論調査:中東世論調査(シリア2016年)」『中東研究』No.523、pp.77-90。
    中東諸国の政治を対象とする研究において、地域研究に代表される叙述型の手法と計量学に基づくディスィプリン型の手法は両立しないと考えられることが多い。その主な理由として、中東特殊論に起因する方法論的不仲とデータ収集における中立性、透明性の欠如という2点が指摘される。中東特殊論に起因する方法論的不仲とは、中東という「特殊」地域の政治が、西欧の事例研究を理論化するかたちで確立した計量学的な手法では把握できず、現地での情報収集や調査に基づいた叙述型の手法、ないしは質的分析を通じて初めて解明されるといった言説を指す。また、データ収集における中立性、透明性の欠如とは、中東諸国が西欧型の制度的民主主義とは一線を画した権威主義体制下にあるため、同地での研究が当局の監視や情報操作から自由ではなく、信頼度の高いデータを得ることが困難だとする見方を意味する・・・。
  • HAMANAKA Shingo  “Foreign Affairs, the National Interest, and Secular-Religious Identities in Israel” ”’Asian Journal for Public Opinion Research”’ 4(3):176-197. August 31, 2016.
    Despite being a key concept of International Relations theory, there is no consensus about what the national interest is. It is almost impossible for political leaders of democratic states to make a crucial decision in foreign policies when considering only the national interest without public support. Rather, we are unable to imagine the national interest without public opinion. In general, international crises galvanize people who held different opinions and unify social cleavages, such as secular-religious identities, into a nation that acts in its national interest…..
  • HAMANAKA, Shingo “Demographic change and its social and political implications in the Middle East” ”’Asian Journal of Comparative Politics”’. May 16, 2016.
    This study examines the effect of the demographic trend on the breakdown of authoritarian regimes in the Middle East. Several scholars have pointed out that the combination of youth’s disproportionate share of the total population, the ‘‘youth bulge,’’ and high unemployment throws a society into turmoil. The demographic change determines not only how human activities are conducted but also how a society embarks on a political transition, such as a revolution, a state breakdown, or a regime change….
  • TAKAOKA, Yutaka “Syrian Civil War from the Viewpoint of “Tribes” ”’Journal of Middle Eastern Studies ”’May 2016, pp44-54
    Five years have passed since the outbreak of the Syrian civil war in 2011. The civil war has gone through various phases, starting from the government violent crackdown on the public protest movement to request political reforms, arming of anti-government movement, internationalization of the incident involving foreign countries, and the emergence of the Islamic extremist armed groups, typically the Islamic state, as the main force against the government military. Especially…
  • 浜中新吾、髙岡豊、溝渕正季「紛争地帯での国内政治と国際政治の連関」『レヴァイアサン』58号、2016年4月15日。
    シリア紛争の激化がもたらした避難民の急増は、レバノン市民のヒズブッラー支持態度に変化を引き起こしたのだろうか。この問いに答えることで、紛争多発地帯での国内政治と国際関係の連関を明らかにすることが可能となり、外国の支援を受けることで激化する紛争メカニズムの一端を解明したい。本稿はシリア紛争による避難民流入を自然実験と見なし「差分の差」(Difference in Differences)推定によって市民の態度変化を検証する・・・。
  • 浜中新吾・白谷望「正統性をめぐるパズル:モロッコにおける君主制と議会政治」『比較政治研究』第1巻、2015年12月29日。
    2011年初頭から体制転換をもたらす変動が中東地域を覆ったにも関わらず、君主制諸国は比較的安定を維持している。なぜ中東では君主制国家が共和制以上に安定性を維持しているのだろうか。中東地域における君主制、とりわけ湾岸産油国の安定を説明するのに有用な理論として、レンティア国家論と王朝君主制論が存在する。しかしモロッコは産油国ではないため、レンティア国家論で説明できるアラブ君主制諸国のように、原油レントを使って国民から「忠誠を買う」正統性の調達手段を持たない。またモロッコは政府首脳に王族を配していないため、王朝君主制に基づく説明にも該当しない。このように君主制の安定をめぐる議論にはパズルが存在する・・・。
  • 浜中新吾「エジプト革命におけるソーシャル・メディアの役割」『年報政治学 2015-Ⅱ』、2015年12月20日。
    2011年のエジプト政変は「インターネットが起こした革命」と喧伝された。にも拘わらずソーシャル・メディアと反体制デモとの相互関連性は未だブラックボックスのような状態である。ゆえにこの状態を可視化する理論的・実証的研究が必要とされており、本稿は祖の要請に応えるものである。具体的には情報拡散理論と社会運動論から導出した明示的メカニズムを持つ仮説を世論調査データによって統計的に検証する。
  • 青山弘之・浜中新吾「シリア人権監視団発表の死者数統計に潜む政治的偏向」Synodos、2015年7月17日。
    2011年3月に「アラブの春」の混乱が波及したシリアでは、国内外の様々な当事者による暴力の応酬、欧米諸国などの制裁や干渉により情勢が悪化し、人々の生活は困窮を極めている。「今世紀最悪の人道危機」と称されて久しいこの紛争によって、23万人以上が死亡し、400万人弱が国外で、また650万人が国内で避難生活を余儀なくされ、1,000万人が被災していると言われる。こうした推計、とりわけ死者数推計の最大の根拠となっているのが、シリア人権監視団が発表する統計データである。・・・
  • ベイルート調査情報センター(青山弘之、溝渕正季翻訳、浜中新吾監修)「レバノン世論調査結果解読:キリスト教徒にとってアウン氏が大統領候補1位」CMEPS-J Report No. 2、2015年8月1日掲載。
    ミシェル・アウン氏がレバノンの圧倒的多数のキリスト教徒から大統領候補として支持され、2位のサミール・ジャアジャア・レバノン軍団代表を大きく引き離していることが世論調査から明らかになった。アウン氏の支持率は、レバノン国家における「キリスト教徒の権利」を求めた最近の演説を受けるかたちで上昇したとみられている。・・・
  • AOYAMA Hiroyuki and HAMANAKA Shingo “Political Bias Lurking in Fatality Statistics Published by Syrian Observatory for Human Rights. “CMEPS-J Report No. 1, updated on July 24, 2015.
    In Syria, where the “Arab Spring” flared in turmoil in March, 2011, the situation deteriorated as violence broke out from within and without the country and sanctions and interventions from Europe and the US added to straining local people’s lives further. In the prolonged conflict described as the “century’s worst human rights crisis”, over 230,000 people perished while some 4 million abroad and 6 and a half million in the country have been forced to refugee status, with 10 million people are said to have been suffering.・・・
  • 髙岡豊「『シャルリー・エブト』襲撃――イスラーム過激派の事情」Synodos、2015年1月19日。
    2015年1月7日、パリの中心部で風刺画新聞社『シャルリー・エブド』が襲撃され、同紙の風刺画作家、編集者、警官ら12名が殺害された。襲撃犯2名は、逃走・立てこもりの末、射殺された。同じころ、やはりパリで警官を射殺した後、ユダヤ教式食品販売店に立てこもった男が、店にいた4名を殺害した末に射殺された。襲撃された新聞社が、イスラームを中傷する風刺画を再三掲載したとしてしばしば抗議や襲撃を受けていたことから、・・・
  • 浜中新吾「アラブ革命の陰で:パレスチナ人の国際秩序認識に反映された政治的課題」『国際政治』178号、2014年11月、pp. 28-43.
    2007年6月、西岸地区をファタハが、ガザ地区をハマースが支配することで、パレスチナ暫定自治政府の分断が生じた。挙国一致政府の形成に向けた交渉が断続的に行われる中で、2011年のアラブ革命はひとつの転機だったと考えられる。ムバーラク政権崩壊後の3月15日、革命の余波が西岸地区やガザ地区、そしてヨルダンとレバノンの難民キャンプに到達して分裂の終結を要求する大衆デモを組織した。・・・
  • 山尾大・浜中新吾 「宗派主義という隘路:イラク世論調査に見る政党支持構造の分析を手がかりに」”’AJAMES”’, No. 30-1, July 2014, pp. 1-32.
    過去10年の中東政治を振り返ってみると、「宗派主義」(sectarianism、al-ta’ifiya)という言葉がひとつの重要な概念として浮かび上がってくる。「宗派主義」とは、特定の派閥や党、宗派に対して狭量に固執するイデオロギーや運動を指す。だが、本稿においてより重要なのは、宗派や民族といった社会的属性が政治対立や政治動員において用いられ、その違いが政治的指向性を規定するだけでなく、暴力をともなう対立の要因にもなるという点である。・・・
  • 髙岡豊「カリフ制樹立を宣言した「イラクとシャームのイスラーム国」の過去・現在・将来」 Synodos、2014年7月4日。
    2014年6月、「イラクとシャームのイスラーム国」の攻勢を前にイラク軍が脆くも敗走、イラク中部の諸都市や、西部のシリアやヨルダンとの国境通過地点が「イスラーム国」などの武装勢力の手に落ちた。これを受け、・・・
  •  HAMANAKA,Shingo “Foreign Affairs, the National Interest, and Secular-Religious Identities in Israel.” Presented at the International Association of Political Science XXIII World Congress, Montreal, July 21, 2014, 18 pp.
    For a few centurys, no significant advances have been made in the normative theory about public opinion on foreign policy in democracies, with a few exceptions. Kant (1795) presents a comprehensive understanding of the topic, and we start the review of his argument from a departure (Fujiwara 2010; Iida and Sakaiya 2014).・・・
  • HAMANAKA, Shingo “Determinants of Attitude Toward Political Parties in Palestine: The effect of the Egyptian Revolution on supporters of Fatah and Hamas”  ”’Asian Journal for Public Opinion Research”’, No.1-1, November 2013, pp. 7-25.
    For the Palestinians, what is the impact of the Arab Spring? The revolution not only dislodged Mubarak from the presidency, but also changed Egyptian policy regarding Palestinians in Gaza. New Egyptian diplomacy has encouraged Hamas and Fatah, which had been in dispute, to seek reconciliation and has loosened the border control on humanitarian grounds. We focus on Palestinian voting attitudes in the wake of the Arab Spring.・・・
  • 髙岡豊 「イスラーム過激派とは?Q&A」 Synodos、2013年9月11日。
    Q1.中東やイスラーム世界での紛争やテロ事件、政治的な混乱についての報道や議論で、「イスラーム過激派」と呼ばれる個人や組織が話題になることがよくありますが、一体どのような人々なのでしょうか?・・・
  • 髙岡豊 「なぜアサド政権は倒れないのか? ―― シリア情勢の現状と課題」 Synodos、2013年7月2日。
    2013年6月、アメリカのオバマ大統領は「シリア情勢の悪化」に懸念を表明するとともに、アサド政権が化学兵器を使用したと主張、反体制派向けの支援強化を発表した。たしかにシリアの情勢は悪化している。しかし、・・・
  • MIZOBUCHI, Masaki and Yutaka TAKAOKA, “The Myth of the “New Phoenicians”: Are Lebanese People Really Cosmopolitans?”  ”’Mediterranean Review”’, Vol. 6, No. 1 (June 2013), pp. 83-112.
    Some widespread stereotypes have been formulated about the Lebanese people: for example, they are considered to be cosmopolitan, multilingual, business-oriented, and to possess an entrepreneurial spirit and global networks. As a result, the Lebanese have commonly been referred to as the “New Phoenicians,” or a typical case of “Trade Diaspora.”  ・・・
  • 青山弘之・浜中新吾「レバノンの政治的認知地図(2012)」科学研究補助金(基盤研究(B))「世論調査による中東諸国民の政治意識と政治体制の相互連関の解明」、2012年12月。
    本報告は、科学研究補助金(基盤研究(B))「世論調査による中東諸国民の政治意識と政治体制の相互連関の解明」(研究代表者:浜中新吾)が2014年4月から8月にかけてパレスチナとレバノンで実施した「パレスチナ・レバノン同時世論調査(2012)」における「レバノン世論調査(2012)」の成果をもとに、同国民の政治的認知地図を描出することを目的とする。・・・
  • 髙岡豊・浜中新吾・溝渕正季「レバノン人の越境移動に関する経験と意識:「新しいフェニキア人」像の再考」”’AJAMES”’, No. 28-1, July 2012, pp. 35-58。
    レバノン人といえば、様々な言語を自由に操り、商才に長け、進取と革新の精神に富んだ人々が、母国と世界をまたにかけて活躍しているとのイメージが抱かれることが多い。こうしたイメージから、レバノン人はしばしば「新しいフェニキア人」(New Phoenicians)と称されることもある[Gates 1998]。また、ロビン・コーエンなどは、経済活動を目的とする彼らの越境移動活動を「交易ディアスポラ」の典型例としてあげている。・・・
  • HAMANAKA, Shingo “A Political Mental Map of the Palestinians.”  ”’AJAMES”’, No. 22-2, January 2012, pp. 29-56.
    The international system is a standard tool for analyzing international politics. Yet, despite the popularity of this approach, which emerged from the increasing influence of neorealism in the 1980s, few attempts have veen made so far to describe the groupings of nations as an international system.・・・
  • 青山弘之(編)、青山弘之・浜中新吾・山尾大・溝渕正季・髙岡豊(著)『中東における政治変動と政治的ステレオタイプの変化に関する研究論集』平成20年度文部科学省「人文学及び社会科学における共同研究拠点の整備の推進事業」委託費による「イスラーム地域研究」にかかわる共同研究、2011年3月。
    本書は平成20年度文部科学省「人文学及び社会科学における共同研究拠点の整備の推進事業」委託費による「イスラーム地域研究」にかかわる共同研究「中東における政治変動と政治的ステレオタイプの変化に関する研究」の最終成果論集である。本共同研究事業は2008年10月1日に発足し、2011年3月31日に終了した。・・・
  • 髙岡豊・浜中新吾「パレスチナ人の越境移動に関する経験と意識:移動先の選択と動機のメカニズム」『アジア経済』第52巻第1号、2011年1月、pp.24-42。
    本稿は、アラブ諸国で行った世論調査の結果にもとづき、調査対象国(地域)の住民の国際(越境)移動についての意識と経験の実態を分析・比較検討することで、中東地域の人々の移動先の選択と動機を解明するプロジェクトの一環として、パレスチナ人の越境移動を分析する。パレスチナ人の越境移動については、同種の世論調査を行ったシリア、エジプトの結果との比較を通じ、その実態の解明に努める。具体的には、越境移動の経験や希望を持つパレスチナ人がどのような人々か・・・
  • 青山弘之「レバノン国民の政治的認知地図:2010年5〜6月実施の全国世論調査結果をもとに」『国際情勢紀要』第81号、2011年2月、pp. 291-305.
    「テロとの戦い」と「民主化」の名のもと、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)政権の米国およびその同盟諸国が推し進めてきた好戦的な外交政策は、イラクやパレスチナの政情を混乱させ、その安定や主権を大きく阻害した。レバノンも例外でなく、2004年半ば以降、米仏をはじめとする西側諸国や親米アラブ諸国の外部介入により、未曾有の政治変動が生じた。・・・
  • 浜中新吾「ハイブリッド型権威主義体制の与党支持構造:エジプト・シリアの比較分析」『アジア経済』第52巻第12号、2011年12月、pp.2-30。
    2011年、エジプトのオマル・スレイマン(’Umar Sulayman)副大統領はテレビ演説で、ホスニー・ムバーラク(Husni Mubarak)大統領の辞任を国民に伝えた。それは約30年にわたるムバーラク支配の最後であるとともに、1952年の自由将校団によるクーデタで誕生した権威主義体制の変革を意味した。・・・
  • 青山弘之・浜中新吾「シリア国民の「政治的認知地図:世論調査の計量分析から読み解く政治意識」『現代の中東』第46号、2009年1月、pp. 2-21。
    2000年以降、アラブ世界は激動のなかにその身を置いてきた。なかでも東アラブ地域では、イラク、パレスチナ、レバノンにおいて未曾有の政治変動が相次いだ。イラクでは、2003年3月にイラク戦争が勃発し、サッダーム・フセイン(Saddam Husayn)政権が崩壊した。・・・
  • 髙岡豊・浜中新吾「シリア人の国境を越える移動に関する意識と経験」『現代の中東』第47号、2009年7月、pp. 2-17。
    中東における域内・域外の国際移動に対する関心は従来から高く、そしてその関心は、アラビア半島の産油国やヨーロッパ諸国への出稼ぎ、家族の呼び寄せ、不法移民の増加という課題に集まる傾向があった。しかし、特に東アラブ地域においては、2000年代に入り2つの課題が新たな移動の類型として浮上した。それは、第一に9.11事件や米軍によるイラク侵攻・占領を受けた「テロリスト(=ムジャーヒドゥーン)」の移動や特定地域への潜入・潜伏であり、第二にイラクにおける占領統治の失敗といわゆる「宗派騒乱」の激化に伴う難民・避難民の国外脱出と滞留である・・・
  • 青山弘之「アラブ諸国の世論調査結果に見る政治的認知地図:シリア、エジプト両国民比較」『国際情勢紀要』第80号、2010年2月、pp. 301-318。
    2009年1月のバラク・オバマ大統領就任により、米国はジョージ・W・ブッシュ前大統領のもとで推し進めてられてきた好戦的な対外政策を放棄し、対話を強調するようになった。この政策転換は、「テロとの戦い」や「民主化」圧力によって不安定化したイラク、パレスチナ、レバノンの情勢を改善させるものではないが、これらの国々をめぐるアラブ諸国関係は、対米協力の是非を主たる争点としてきた二極対立から、各国の利害をより強く反映した多極的な競争へと変化しつつある。・・・
  • AOYAMA, Hiroyuki, “Arab People’s Perceptions of East Asian Countries: An Analysis of the Political Mental-Map.”  The 19th International Conference of Korean Association of the Middle East Studies “The Middle East Peace and Nuclear Energy Partnership between Korea and the Middle East,” Hankuk University of Foreign Studies, October 16, 2010.
    The aim of this presentation is to understand the political stereotype held by the Arab peoples about Japan and South Korea, thus allowing Japan and South Korea to take a step toward considering the ways to contribute politically, economically, and socially to the Arab peoples. To achieve this aim, I will analyze the perceptions of the Arab peoples toward Japan and South Korea by utilizing the concept of “political mental-map.”・・・
  • 青山弘之・髙岡豊『シリア・アラブ共和国における全国世論調査(2007年)』世界を対象としたニーズ対応型地域研究推進事業「アジアの中の中東:経済と法を中心に(文部科学省委託事業)」Research Report Series No. 4、2008年。
    以下で報告する調査は、文部科学省「世界を対象としたニーズ対応型地域研究推進事業」のひとつである中東地域研究プロジェクト「アジアのなかの中東--経済と方を中心に」の中で行われた。・・・
  • 西舘康平「2014年エジプト大統領選挙における政府の報道への干渉とメディアの報道姿勢」『Asahi中東マガジン』2014年7月29日掲載。
    5月28日をもってエジプトの大統領選挙が終了した。6月3日には、アブドルファッターフ・スィースィー前国防相が、左派のアフマド・サッバーヒー候補者との競争の末に勝利したことが発表された。6月4日には、ホワイトハウスが「アメリカ合衆国は、エジプトと共有する「多くの利益」と戦略的パートナーシップを進めるために、スィースィー大統領との協力を期待する」との声明を発表した[the White House, 4, Jun, 2014]。その他、ロシアはもともとスィースィーの大統領選出馬を支持しており[al-Jazīra, 13, Feb, 2014, ]、イギリスも彼の当選を支持する姿勢を示している[al-Jazīra, 4, Jun, 2014]。・・・
  • 西舘康平「ナイルに映えるから騒ぎ:グランド・ルネッサンス・ダムをめぐるエジプトの国内の政治的攻防(リポート)」『Asahi中東マガジン』2014年4月15日掲載。
    水を恒常的に確保していくことはエジプト政府にとって重要な課題である。このことは、前回のリポート「エジプト革命と水問題」(2013年4月9日付)で強調した。これを踏まえ、今回私が取り上げたいのは、2013年に発生した「6月30日革命」によりその幕を閉じたムルスィー政権末期(2013年5月28日から6月末の約1カ月間)に繰り広げられた水をめぐる言説だ。・・・
  • 青山弘之「シリア紛争から3年:アサド政権と反体制勢力の暴力の応酬をめぐる「善」と「悪」」『Asahi中東マガジン』2014年3月18日掲載。
    「シリア革命」と呼ばれた反体制運動が高揚し、シリアが未曾有の混乱に苛まれてから3月15日で3年が経った。「今世紀最悪の紛争」と評されるこの武力紛争は、「政権崩壊は時間の問題」といった主張が欧米諸国や日本のメディアから姿を消して以降、大きく取り上げられることはなくなった。2013年8月のダマスカス郊外県グータ地方での化学兵器使用を受けて、シリア情勢への関心はにわかに高まりを見せたが、そこで注目されたのは、シリアそのものというよりは、むしろバッシャール・アサド政権に「懲罰的」な攻撃を行おうとした米英仏のヒステリーだった。・・・
  • 溝渕正季「レバノン政治混迷:7年以上、予算案の国会承認なし」『Asahi中東マガジン』2012年5月8日掲載。
    レバノンの国家公務員は、場合によっては5月以降の給与を受け取ることができなくなってしまうかもしれない――――。国家公務員はレバノン全体の労働人口の16%、12万人以上を数える。労働者のおよそ6人に1人。国家公務員の側に落ち度や非があるわけではない。問題の元凶は、7年以上にわたって互いに中傷合戦を行うだけで、法案を全く可決することができない(どこかの国でも似たような話をよく耳にするが)政治家の側にある。・・・
  • 浜中新吾「イスラエル国民の政治的認知地図」『Asahi中東マガジン』2011年12月26日掲載。
    国際政治の大局を把握する道具として国際システムという概念がある。例えば「冷戦時代は米国とソ連の二極構造」という表現にある「二極構造」が国際システムの構造類型である。国際政治学ではシステムの構造とプロセスが国家間紛争の発生や平和の安定性をある程度左右すると考えてきた。・・・
  • 山尾大「イラク サドル派に乗っ取られた『アラブの春』 」『Asahi中東マガジン』2011年10月18日掲載。
    2011年、チュニジアとエジプトの権威主義体制を崩壊へと導いた「アラブの春」は、その後、リビア、イエメン、バハレーン、シリアなど、権威主義体制下の中東諸国へと波及した。これらの国では、既存の権威主義体制の打倒が、街頭行動の目的となった。では、少なくとも制度的には民主化を達成したイラクにおいて、「アラブの春」はどのように波及し、そしてイラク政治にいかなる影響を与えたのだろうか。・・・
  • 浜中新吾「エジプトとシリアの与党支持構造:中東地域の比較政治分析」『Asahi中東マガジン』2011年10月17日掲載。
    頑健と考えられていたエジプトのムバーラク体制が18日間の民衆デモであっけなく崩壊したことは中東地域の実務家・中東研究者だけでなく、政治学者にも大きな問いを突きつけている。政治学者たちは中東諸国を「生存に成功した権威主義体制」とみなしていた。・・・
  • 溝渕正季「レバノン特別法廷:元首相殺害事件の起訴状提出で始まるレバノンの『乱世』」『Asahi中東マガジン』2011年7月30日掲載。
    2011年6月29日、レバノン特別法廷(Special Tribunal for Lebanon: 以下、STL)は満を持して起訴状をレバノン司法当局に提出した。STLとは、ラフィーク・ハリーリー(以下、R・ハリーリー)元レバノン首相暗殺事件の真相追求のために安保理決議1757号(2007年5月30日採択)の下で設置された、国連主導の準国際裁判所である。容疑者リストにはヒズブッラーの関係者4名が含まれているとされ、いずれも事前に情報筋からリークされていた通りの面々だ。R・ハリーリー氏が側近や通りすがりの不運な市民らを含む22名と共に白昼堂々爆殺されたのが2005年2月14日であったから、ここに至るまでに既に6年以上が経過したことになる――――この間、レバノンの国内外では様々なことが起きた。そこで本稿では、今回の起訴状提出を機に、事件発生から現在に至るまでの流れを改めて振り返り、その展開を簡単に整理しておくこととしたい。・・・
  • 青山弘之「シリア反体制デモの混迷の背景」『Asahi中東マガジン』2011年7月22日掲載。
    3月半ばにシリアで民衆デモが始まってから4ヶ月が経った。「自由」を求める抗議行動は衰えを知らず、7月15日には総動員数が初めて100万人を越えたと報じられた。しかし、バッシャール・アサド大統領の支配が揺らぐ気配はなく、反体制デモへの弾圧は強まるばかりである。反体制勢力が当初の期待とは裏腹に何らの成果もあげていないのはなぜだろう?・・・
  • 青山弘之「欧米の本意はシリア・アサド政権の存続と民意の抹殺か?」『Asahi中東マガジン』2011年5月25日掲載。
    5月18日、バラク・オバマ米大統領は、大統領令により反体制デモの弾圧を続けるシリアのバッシャール・アサド大統領と政権幹部6人の資産を凍結する金融制裁を発動した。この制裁は、デモ弾圧を指揮するマーヒル・アサド大佐ら複数の治安機関高官に対して4月29日に発動された制裁に続く措置である。またこの動きに同調するかたちで、EUも5月10、23日にアサド大統領を含むシリア政府高官に対して、資産凍結、EUへの渡航制限を科した。・・・
  • 青山弘之「シリア:アサド政権の戒厳令解除と変わらぬ強硬姿勢」『Asahi中東マガジン』2011年4月21日掲載。
    シリアの反体制デモが6週目を迎えた4月19日、アーディル・サファル新内閣は第1回閣議で、戒厳令解除、国家最高治安裁判所廃止、平和的デモ組織に関わる一連の法案を承認する一方、政党法案、情報法案などの早期策定を関係閣僚に要請した。これはバッシャール・アサド大統領が先月30日に人民議会(国会)で行った演説で提示した包括的な政治・経済・社会改革計画の一環をなす動きではある。だが、そこにはデモ参加者の要求に応えようとする楽観的な空気はなく、権威主義を本質とする既存の支配体制を維持・強化しようとする政権の断固たる意思を読み取ることしかできない。・・・
  • 青山弘之「緊迫シリア 大規模デモのこれまでと異なる特徴」『Asahi中東マガジン』2011年3月29日掲載。
    3月15日から27日にかけて、シリア各地でバッシャール・アサド政権の支配に反対するデモが断続的に発生し、治安部隊の弾圧によって100人以上(反体制人権活動家の発表)が死亡した。デモがもっとも激しかったダルアー市やラタキア市などでは現在、警察、治安部隊、さらには国軍が治安維持活動にあたっており、不気味な沈黙が続いているが、シリアでの民衆デモの発生はどのように解釈されるべきだろうか?・・・
  • 青山弘之「シリアで国民の怒りは爆発するか?」『Asahi中東マガジン』2011年3月9日掲載。
    今年1月以来のアラブ世界で続く政治変動は、チュニジアであれ、エジプトであれ、長期独裁政権や悪化する経済状況に対する国民の怒りが原動力になり、フェイスブックに代表される「SNS」(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を通じて似たような境遇の国へと連鎖反応している、と端的に説明されることが多い。この評価の是非はともかく、このような客観的な条件を持つ国で必然的に革命が起こると仮定すると、アラブ世界のなかでどこよりも先に民衆デモが発生していなければならなかったのが、中東諸国における権威主義の典型とされるシリアであった。・・・
  • 青山弘之「混迷のレバノン政局の背景を読む」『Asahi中東マガジン』2011年1月25日掲載。
    1月12日、レバノンでヒズブッラーの閣僚ら11人がラフィーク・ハリーリー元首相暗殺事件の調査・裁判をめぐるサアド・ハリーリー首相の政策に異議を唱えて辞表を提出し、同首相が率いてきた挙国一致内閣は瓦解した。また同月17日、元首相暗殺事件の裁判を目的に発足した準国際法廷「レバノン特別法廷」が起訴手続きに入ったことを発表した。起訴内容はまだ公開されていないが、容疑者のなかにヒズブッラーのメンバーが含まれているとされており、このことが昨今のレバノン情勢悪化の直接の契機となっている。・・・
  • 溝渕正季「ヒズブッラーと特別法廷:レバノンに立ちこめる暗雲の意味」『Asahi中東マガジン』2010年11月12日掲載。
    2010年11月、レバノンは「レバノン特別法廷(Special Tribunal for Lebanon、以下STL)」の話題で持ちきりだ。そして、その渦中にいるのがヒズブッラーである。STLとは、平たく言えば、2005年2月に起きたラフィーク・ハリーリー元首相暗殺事件の真相を究明すべく、国連主導の下で設置された国際裁判所である。同様の国際裁判所の例としては、例えば旧ユーゴスラビア戦犯法廷(ICTY)やシエラレオネ特別法廷(SCSL)などが挙げられる・・・
  • 青山弘之「東アラブの宗派主義:中東情勢を理解するかぎ」『Asahi中東マガジン』2010年11月15日掲載。
    イラクでは国会選挙(2010年3月)から8カ月間、決まらなかった組閣にようやっと決着の目処がたちましたが、この間、シーア派の政治指導者同士による首相職をめぐる争いに、イラン、シリア、サウジアラビア、トルコといった周辺諸国がこの動きに陰に陽に介入してきました。他方、レバノンでは、レバノン特別法廷(2005年2月のラフィーク・ハリーリー元首相暗殺事件の容疑者裁判を目的として発足した準国際法廷)の是非をめぐる対立が内政麻痺をもたらし、「S・S均衡」と呼ばれるシリアとサウジアラビアの折衝のもとで内戦回避に向けた努力が続けられています。イラク戦争で民主化したはずのイラクや、アラブ世界でもっとも民主的と言われてきたレバノンで、なぜこのような混乱や干渉が起きるでしょう?・・・