CMEPS.J Report No. 104(2025年10月31日)
大森 耀太
はじめに
シリアで2025年10月5日、バッシャール・アサド政権崩壊後初となる人民議会選挙が実施され、翌日に開票および当選者の発表が行われた。「民主化」を目指した反体制派による政権奪取後初の議会選挙だっただけに、この選挙への注目度は高く、実際にロイター通信などの諸通信社や英国政府をはじめ様々な団体や政府がこの選挙に対するアセスメントを行っている。現状では、国営のシリア・アラブ通信(SANA)が10月6日、この選挙は「世界的な基準に基づいて行われた」、「民主的な」選挙であったと評価した(SANA[2025b])一方、国外の一部メディアや人権団体は、この選挙は「代表性に欠け、中央集権的過ぎる」と非難しており(Reuters[2025a])、人民議会選挙に対する評価が定まっていないといえる。
このように選挙に対する評価が二分されているのはなぜか。
2011年のシリア内戦勃発以降、アサド政権に対抗する「正義の民衆」(髙岡[2011]:42)を支援してきたトルコや中東湾岸諸国が、「独裁政権打倒後の民主的な選挙の実施」という「予定調和的物語」として今回の選挙を捉えたい意図がある一方、イスラエルをはじめ、テロ組織に指定されていたシャーム解放機構を母体とする移行期政権の正統性を疑問視する勢力(The New Arab[2024])には、今回の選挙の「不備」を足掛かりに移行期政権への攻勢を強めたい意図があるというように、観察者の立場が異なっているのが一つの要因であろう。
では、どのような指標に基づけば、客観的にこの選挙を評価できるのか。
本稿では、今回の選挙に対する様々な評価を俯瞰したうえで、スウェーデンに本拠を置く政府間組織である民主主義・選挙支援国際研究所( Institute for Democracy and Electoral Assistance、IDEA)の「民主的選挙へのガイドライン」(IDEA[2002: 5-94])に沿って、その選挙の評価を試みる。
1. 新たな選挙制度
本節では、 人民議会選挙を考察するにあたって、前提となる法的枠組みを確認し、選挙システムを解説する。その際、システムの良し悪しを検討するのではなく、システムを概観することを目的としたい。
まず、選挙の前提となる選挙法を確認する。
移行期政権のアフマド・シャルア暫定大統領は2025年8月19日、政令143号を発布し、人民議会選挙の暫定選挙制度を承認した(政令143号の全訳は青山[2025b]を参照)。
この政令で重要となる記述は以下の通りである。以下に挙げる政令の訳文は、専ら青山[2025b]を参照した。
第1章 定義
第1条 本政令の規定を適用するにあたり、以下の語および表現は、それぞれ次に示す意味を持つものとする:
高等委員会:大統領からの政令に基づいて設置される人民議会選挙高等委員会。
・支部委員会:高等委員会の決定に基づいて設置される人民議会選挙支部委員会。
・選挙人団:本政令に定められた条件と基準を満たし、自らの選挙区において選ばれた人々の集まり。
・異議申立委員会:支部委員会の構成員、選挙人団の構成員、ならびに選挙手続の結果に関して提起された異議を審査する委員会。
・選挙区:各県における行政区分に従って、選挙人団の有権者を包含する地理的範囲。
・投票所:選挙手続が実際に行われる場所。 ・有権者:選挙人団の最終名簿にその氏名が記載されている者。
・候補者:選挙人団の構成員で、自ら人民議会議員選挙への立候補を届け出た者。
第2章 定数および配分
第2条
1. 人民議会の総議員数は210人とする。
2. 議員のうち3分の2は本政令の規定に従って選挙により選出される。
3. 各県の議席は人口分布に応じて配分され、選挙区には1議席以上が割り当てられる。
第3条
1. 選挙区は郡レベルで構成される。
2. 選挙区は一つ以上の郡から成り立つことができる。
3. 各選挙区には、本政令に従って設置された選挙人団が存在する。
4. すべての選挙区における選挙人団は、人民議会議員の3分の2を選出する。
5. 人民議会議員への立候補資格は選挙人団の構成員に限定される。
第3章 人民議会選挙高等委員会
第6条
3. 高等委員会は、その職務および権限を、いかなる他の機関からも完全に独立し、中立かつ透明性をもって行使する。いかなる者または機関も、その職務や権限に干渉したり制限したりすることは禁じられる。
4. 高等委員会の構成員の一人に欠員が生じた場合、大統領がその代替者を任命する。
第10条 支部委員会の構成員には、以下の条件が求められる:
8. 2011年以降、人民議会の議員または候補者であったことがないこと。ただし、離反を証明できる場合は例外とする。
9. 旧体制やいかなるテロ組織をも支持していないこと。また、分離や分裂、外国勢力への依存を唱える者でないこと。
第8章 選挙人団
第21条 選挙人団の構成員には、以下の条件が求められる:
1. 2011年5月1日以前からシリア国籍を有していること(2011年の政令第49号の対象となる市民も含む)。
2. 戸籍登録がその選挙区内にあること、または2011年以前の5年間、その選挙区に継続して居住していたこと。
3. 法的能力を有していること。
4. 本政令の公布日に満25歳以上であること。
5. 善良な経歴と品行を有していること。
6. 重罪または品位を損なう犯罪で有罪判決を受けていないこと(ただし、政治的または治安上の性質を持つ案件は除く)。
7. 2011年以降、大統領選挙に立候補していないこと。
8. 2011年以降、人民議会の議員または候補者であったことがないこと。ただし、離反を証明できる場合は例外とする。
9. 旧体制やいかなるテロ組織をも支持していないこと。また、分離や分裂、外国勢力への依存を唱える者でないこと。
10. 軍隊または治安機関の構成員でないこと。
11. 高等委員会、支部委員会、異議申立委員会のいずれの構成員でもないこと。
12. 大臣、県知事、副知事、またはその補佐官の職に就いていないこと。
13. 憲法宣言の規定を遵守していること。
14. 能力枠の場合、公認大学の学位または同等資格を有していること。
15. 有力者枠の場合、高等学校卒業資格を有していること。
第22条
1. 能力者枠とは、各種の専門分野における大学資格を有する者を指す。
2. 有力者枠とは、社会的影響力を持ち、地域活動や社会奉仕で知られる人物を指す。 以上から分かる通り、この選挙システムでは、国民が直接候補者に投票するのではなく、政府によって資格があると認められた者のみが有権者となり、人民議会の3分の2の議員を選出し、残りの3分の1は大統領が直接指名する。
この選挙システムをまとめると図1の通りである。
図1 選挙システム

出所:IDEA[2025]。
また、選挙はシリア全土で行われるはずだったものの、人民議会選挙高等委員会が8月23日、スワイダー県、ハサカ県、ラッカ県での選挙実施を安全上の課題を理由に延期する決定を下した。しかし、9月11日、人民議会選挙高等委員会は、2025年決定第30号を発出、トルコが実効支配するハサカ県のラアス・アイン郡とラッカ県のタッル・アブヤド郡に支部委員会を設置し(al-Lajna al-‘Ulyā li-Intikhābāt Majlis al-Sha‘b[2025])、他選挙区での選挙よりも遅れたものの、10月23日に同地域で選挙を実施した(SANA[2025c])。だが、スワイダー県および北・東シリア地域民主自治局支配地ではいまだに選挙が行われいないため、人民議会選挙の実施はシリアの一部地域のみにとどまった。
2. 選挙に対する世界の評価
この選挙システムおよびこれに則った選挙プロセスはどう評価されているのか。
先述の通り、2011年以降継続しているシリア内戦では、「民主化を求める」反体制派がアサド政権を打倒しただけに、今回の人民議会選挙への期待と注目は大きかった。実際、中東から遠く離れた日本でも、各新聞社が人民議会選挙の実施を取り上げた(朝日新聞[2025]、日本経済新聞[2025])。このような状況下で、人民議会選挙が2025年10月5日に行われると、各通信社や団体、政府機関がこの選挙のアセスメントを行った。
本節では、発行元の意図によって選挙に対する評価が左右されることを認めたうえで、この選挙に関する様々な評価を俯瞰する。
まず、カタールの通信社で、シリアへの「アラブの春」波及以降は反体制派寄り、また現在もシリア移行期政権寄りの姿勢を取っているジャズィーラ・チャンネルは、10月5日付の記事(al-Jazeera[2025])で、選挙制度の問題点を指摘しつつも、今回の選挙を肯定的に捉える人へのインタビューを掲載し、以下の通り報じた。
ダマスカスにある国立図書館の回廊で、シリア人たちの記憶に特別な1日が刻まれた。というのもこの日、希望と不安の入り混じる雰囲気のなか、有権者らは投票受付と投票箱を行き来しており、ホールが早朝から有権者の声と動きでいっぱいだったのだ…。
一方でマハーニー氏は、「能力のある個人から構成され、地理的にも均衡のとれた選挙人団の選出は、一般選挙よりも公平な選出を保証している」との見解を示したうえで、その理由として、多くのシリア人が未だ国外にいるか、政治情勢に詳しくないことを挙げた…。
投票システムや限定的な選挙参加をめぐる議論が続いているものの、ダマスカスで起こったことは、戦争で疲弊してもなお武器ではなく言葉と投票箱で復興しようとする国で、政治が大衆の手に戻ったことを象徴する宣言のように見えた。
一方、英国に本社を置くロイター通信は、10月7日付の記事(Reuters[2025b])で、「オブザーバーや一部のシリア人が投票の数日前、選挙があまりにも中央集権的かつ、政府支配地域外の地域では選挙が中止されたため、すべての共同体が公平に代表されていないという懸念を表明した」と報じ、今回の選挙がシリア人全体を包摂するものではないことを指摘した。
また、イタリア国際政治研究機関(Italian Institute for International Political Studies、ISPI)は、選挙において大統領の権限が強いことを図式したうえで以下の論評を掲載した。
シリアで行われた人民議会選挙における民衆の参加度は低かった。これは、選挙プロセスが間接的であったこと、政治的基盤が弱体であること、および多くのシリア人が日々直面している圧力に起因する。
選挙を注視していた者の間でも、見解は分かれた。一部の人が、アサド政権時の厳格に管理された見せかけの選挙からは進歩したと考えている一方、他の人たちは、選挙プロセスとその結果を批判し、納得感を示していない。主な懸念点は、大統領権の程度である。議席の3分の1が直接大統領によって選出され、残りの議席が、大統領の指名する委員会の監視の下、不透明なプロセスによって選ばれる。脆弱な監視機構および曖昧な選出基準は、特に移行期において政治的操作の懸念を提起する。
また、治安および政治的停滞を理由としたスワイダー県、ハサカ県、ラッカ県の除外は、地元当局からの批判を受けるだけでなく、正統性の低下にもつながる。
さらに、この選挙は代表性に欠ける。というのも、女性が全体の3%しか議席を獲得していないのに加え、キリスト教徒やアラウィー派コミュニティはそれよりも少ない。民衆の支持・不支持の程度を正確に測ることは難しいが、選挙がシリアの脆弱な移行期を強化するのに必要な統一感と正統性を育めなかったのは明らかである(Haid[2025])。
以上から、この選挙が、アサド政権崩壊後の政治プロセスにおける積極的な一歩として評価されている一方、選挙制度の不透明さや大統領の権限の強さ、また選挙がシリア全土で行われなかったことに対する懸念が存在していることが分かる。また、三つの記事を取り上げただけでも、記事媒体によって選挙に対する評価が異なっていることが明白であった。
3. 国際基準に則った評価
各媒体による選挙評価を俯瞰してわかる通り、選挙に対する評価は定まっていなかった。
そこで本節では、IDEAの「民主的選挙へのガイドライン」(IDEA[2002: 5-94])に沿って、人民議会選挙を評価していきたい。これは、民主的選挙のための16章からなるガイドラインであり、各章末に、選挙が民主的か否かを判断するチェックリストが添付されている。
本節では、今回の人民議会選挙を各章のチェックリストに照らし合わせ、選挙が民主的であるための要件を満たしているのかを確認する。
表1はチェックリストである。
表1 民主的選挙のチェックリスト
| 1. | 法的枠組みは客観的で、明確で、透明性があり、国民がアクセス可能か。 |
| 2. | 投票権、選挙人登録権、公職への立候補権などの基本的な参政権は、 憲法によって保護されているか。 |
| 3. | 関連するすべての法律(憲法、全体及び特定の選挙制度、市民権、政党・ 選挙資金・メディア・公共情報関連法、選挙違反に関する刑事規定、 選挙管理委員会〔EMB〕の指令など)は検討されているか。 |
| 4. | 行動規範(コード・オブ・コンダクト)は選挙の法的枠組みの一部を構成しているか。その場合、公正かつ自由な選挙の実施という全体目標に合致しているか。 |
| 5. | 法的枠組みは、選挙管理委員会(EMB)の指示や通達が憲法および選挙法の規定と整合することを確保しているか。 |
| 6. | 国政選挙、地方選挙、自治体選挙に関する規定が相互に矛盾せず調和しているか。 |
| 7. | 選挙法の一部が選挙直前に制定され、十分な議論や討論の機会が与えられなかったことはないか。 |
| 8. | 法的枠組みは、国会の少なくとも一院の全議席が、法律に基づき、定期的かつ合理的な間隔で直接選挙により選出されることを規定しているか。 |
| 9. | 法的枠組みは、得票を議席に換算するための選挙制度(選挙公式)を明確に定めているか。 |
| 10. | 議席獲得に必要な法定得票率(閾値)の変更が、特定の政党に有利または不利になるよう行われていないか。 |
| 11. | 選出される機関の任期の長さは妥当か。 |
| 12. | 国に政治的・宗教的・民族的な深い分断がある場合、既存の選挙制度がそれを助長していないか。 |
| 13. | 法的枠組みは、選挙区の区割りを「票の平等」の原則に基づき、ほぼ同数の有権者で構成するよう定めているか。また、地理的・行政的・歴史的境界などの合理的な理由による例外が客観的に規定されているか。 |
| 14. | 境界区分作業を公正・非党派・独立かつ専門的な機関が行うことを法的枠組みが定めているか。 |
| 15. | 既存の選挙区区割りについて、政党間で幅広い合意や支持が得られているか。 |
| 16. | 法的枠組みは、区割り作業を開始する条件(きっかけとなる事象)を明確に定めているか。 |
| 17. | 現在の選挙区区割りが与党に有利になるよう設計されていないか。 |
| 18. | EMBは区割り作業に関与しているか。その関与がEMBの独立性・中立性を損なう可能性はないか。 |
| 19. | 法的枠組みは、区割り決定に対する異議申し立てや上訴の手続きを規定しているか。 |
| 20. | 成年に達したすべての市民に、普遍的かつ平等な参政権が保障されているか。 |
| 21. | 法的枠組みは、すべての人が法の下で平等に扱われ、参政権が差別なく行使されることを確保しているか。 |
| 22. | 参政権に対して何らかの制限や制約がある場合、それは例外的状況や公認された基準によって正当化されているか。 |
| 23. | EMBが独立かつ公正な機関として構成されることを、法的枠組みが規定しているか。 |
| 24. | 法的枠組みは、EMBメンバーが恣意的に解任されないよう保護しているか。 |
| 25. | 法的枠組みは、EMBが独立・公正・透明に運営されることを義務づけているか。また、そうした運営を妨げるような規定が存在していないか。 |
| 26. | 法的枠組みは、EMBの各レベルの権限と責任、相互関係、政府その他の行政機関との関係を明確に定めているか。 |
| 27. | 法的枠組みは、EMBの決定に対する審査または破棄のための適切な機会を提供しているか。 |
| 28. | 法的枠組みは、EMBメンバーの任期をずらして設定するなど、選挙管理の継続性を確保しているか。 |
| 29. | EMBは、特に地方レベルの選挙準備のために、十分な準備期間を与えられているか。 |
| 30. | 法的枠組みは、EMBの運営を行うために、十分かつ適時な資金が確保されることを規定しているか。 |
| 31. | 有権者登録の手続きは、正確な有権者名簿を作成できるものとなっているか。また、その過程は透明か。 |
| 32. | 法的枠組みは、選挙前に有権者名簿を定期的かつ適時に更新することを定めているか。 |
| 33. | 有権者登録の要件は、明確で曖昧さのない表現で定められているか。 |
| 34. | 登録に必要な書類が法律で明確に特定されているか。 |
| 35. | 登録に関する決定に異議を申し立てるための手続きが、明確で曖昧さのない言葉で定められているか。 |
| 36. | 登録決定への異議申し立て期間は明確に定められているか。 |
| 37. | 有権者の個人情報が不正に公開されることから保護されているか。 |
| 38. | すべての政党および候補者が公平に扱われることが保証されているか。 |
| 39. | 資格を有する市民が、政党候補または無所属候補として立候補する権利を保障されているか。 |
| 40. | 法的枠組みは、すべての政党および候補者に対して、登録および投票用紙へのアクセスの点で公平な競争条件を提供しているか。 |
| 41. | 政党および候補者登録の要件や手続きは、関連性・合理性・客観性に基づいており、その基準が明確に法律に記されているか。 |
| 42. | 法的枠組みは、政党および候補者登録に関する決定の迅速な再審を行うための適時な不服申立て手続きを定めているか。 |
| 43. | 法的枠組みは、候補者の届出が些細な理由で却下されないよう、軽微な誤りの修正や追加情報の提出を認めているか。 |
| 44. | 法律は、選挙運動中の政党・候補者の行動を規制し、政府や他の政党・候補者の干渉を受けない、自由で開かれた選挙運動を保障しているか。 |
| 45. | 法的枠組みは、選挙運動期間(開始日・終了日)を明確に定義しているか。 |
| 46. | 必要に応じて、法的枠組みは投票日前1〜2日に選挙運動を停止することを規定しているか。 |
| 47. | 有権者や候補者・政党が脅迫されないよう、選挙暴力を防ぐための規定や保障が設けられているか。 |
| 48. | 法的枠組みは、選挙運動期間中に発生する苦情や対立を、迅速に処理するための手続き・仕組みを定めているか。 |
| 49. | 選挙運動期間中、政党や候補者のうち特定の者だけが政府資源を利用することを禁止しているか(すべてに等しく利用できる場合を除く)。 |
| 50. | 法的枠組みは、すべての政党および候補者に対して、国家が所有・管理するメディアへのアクセスおよび公平な扱いを保障しているか。 |
| 51. | 法的枠組みは、メディアへのアクセスおよび公平な扱いに関して、公平で理解しやすく、客観的に適用できる基準(公式)を定めているか。 |
| 52. | 法的枠組みは、選挙運動中の表現の自由を保障しているか。 |
| 53. | 法的枠組みは、いかなる政党または候補者も、メディアへのアクセスや政治広告の料金設定において差別されないことを定めているか。 |
| 54. | 法的枠組みは、与党が報道や社説の名を借りて過剰に大きな報道を受けないようにしているか。 |
| 55. | 法的枠組みは、選挙運動における寄付や支出に関する規定を通じて、すべての政党と候補者が公平に扱われることを確保しているか。 |
| 56. | 選挙法制度が公的資金または国家資源を選挙運動に使用することを認めている場合、それがすべての政党と候補者に公平な扱いとなるよう規制されているか。 |
| 57. | 選挙運動資金の上限や制限は、合理的で明確であり、客観的に適用できるものか。 |
| 58. | 法的枠組みは、選挙運動における寄付や支出について定期的な報告を義務づけているか。 |
| 59. | 法的枠組みは、選挙運動の寄付や支出に関する報告書を、一般市民が閲覧できるよう公開しているか。 |
| 60. | 法的枠組みは、政治資金法の適切かつ効果的な執行を保障しているか。 |
| 61. | 法的枠組みは、政党や候補者が民間資金を不当に制限されることなく集める自由の平等を保障しているか。 |
| 62. | 法的枠組みは、投票が秘密投票で行われることを保証しているか。また、「家族投票」などの不当な共同投票を禁止する十分な規定があるか。 |
| 63. | 法的枠組みは、投票用紙を受け取る前に有権者が適切に本人確認されることを義務づけているか。 |
| 64. | 法的枠組みは、投票前・投票中・投票後におけるすべての投票用紙および投票関連物品の安全を確保するための十分な規定を含んでいるか。 |
| 65. | 法的枠組みは、特定の人々または特別なカテゴリーの人々のための代替的な投票方法を認めているか。 |
| 66. | 法的枠組みは、不正投票や二重投票を防ぐための十分な安全策を備えているか。 |
| 67. | 法的枠組みは、同一人物が代替的な投票方法と通常の投票方法の両方を用いて二重に投票することを防いでいるか。 |
| 68. | 法的枠組みは、警察や武装勢力が投票所に常時立ち入ることを禁止しているか(投票や秩序回復など、管理責任者の明確な許可がある場合を除く)。 |
| 69. | 法的枠組みは、投票の集計および票の計算過程が、政党代表・候補者代表および選挙監視者の立ち会いのもとで実施されることを保障しているか。 |
| 70. | 手作業以外の方法で票の集計・集約を行う場合、法的枠組みはすべてのハードウェア・ソフトウェアおよび関連要素の独立した検証を義務づけているか。 |
| 71. | 法律は、すべての集計結果を、政党や候補者の代表者および監視者が、各投票所の票集計から中間段階、最終的な統合結果に至るまで追跡できる形式で利用できるように義務づけているか。 |
| 72. | 法律は、投票の秘密が脅かされない限り、すべての投票方法についての詳細な結果情報を含む結果集計を義務づけているか。 |
| 73. | 73. 法律は、投票所レベルからEMBに至るまでの詳細な結果を、公共の場で掲示し、印刷メディアで公表することを義務づけているか。 |
| 74. | 74. 法律は、選挙結果の最終認証手続き、候補者への通知、および当選者の任期について明確に規定しているか。 |
| 75. | 投票の再集計に関するすべての要件および手続きは明確に定められているか。 |
| 76. | 再選挙に関するすべての要件および手続きは明確に定められているか。 |
| 77. | 法的枠組みは、政党および候補者の代表者による投票過程および開票過程の独立した監視を認めているか。 |
| 78. | 法的枠組みは、そのような代表者の認定を容易にし、政党および候補者代表のための投票・開票マニュアルの提供や正式な研修の実施を通じて、選挙監視を促進しているか。 |
| 79. | 法的枠組みは、政党および候補者の代表者が投票所構内およびその周辺の禁止区域内で積極的な選挙運動を行わないよう十分な安全策を設けているか。 |
| 80. | 法的枠組みは、政党および候補者の代表者が、投票過程の監視を容易にするために関連情報を入手したり、有権者の身元に異議を申し立てたりするための明確な手続きを定めているか。また、そのような異議に対して投票所の責任者がどのように対処するかの手続きも明確に定めているか。 |
| 81. | 法的枠組みは、政党および候補者の代表者が投票日当日に投票所内および(もし投票所と別の場所で行われる場合には)開票所において秩序を保って行動するための行動規範を定めているか。 |
| 82. | 法的枠組みは、認定された選挙監視者がすべての選挙過程を監視することを認めているか。 |
| 83. | 法的枠組みは、選挙監視者の認定要件について明確かつ客観的な基準を定めるとともに、その役割を明確に定義しているか。 |
| 84. | 法的枠組みは、どの政府機関が選挙監視者を認定するかについて明確な基準を設けているか。 |
| 85. | 法的枠組みは、選挙監視認定の申請に関する明確な基準および期限を設けているか。 |
| 86. | 法的枠組みは、選挙監視者の活動内容、およびどのような状況・条件のもとで監視資格が取り消されるかについて明確な基準を定めているか。 |
| 87. | 法的枠組みは、選挙監視者の活動と選挙の秩序ある運営との間で適切なバランスを取っているか。 |
| 88. | 選挙監視者に対して過度に厳しい法的要件が課され、正当な監視活動を妨げるようなことがあるか。 |
| 89. | 法的枠組みは、選挙権や選挙関連法の遵守を確保するための効果的な執行手段や救済措置を提供しているか。 |
| 90. | 法的枠組みは、選挙法違反に関して誰が苦情を申し立てることができるか、またその申立手続きがどのように行われるかを明確に定めているか。 |
| 91. | 法的枠組みは、選挙管理機関の決定に対して、最終的な管轄権を有する司法機関への上訴権を認めているか。 |
| 92. | 法的枠組みは、苦情の提出・審理・救済措置の決定に関して、適時に対応するための期限を明確に定めているか。 |
出所:IDEA[2002: 5-94]を基に筆者作成。
では、今回のシリア人民議会選挙はこのチェックリストをどれほど満たしているのか。
以下では、このチェックリストを基に人民議会選挙の民主度を検討する(表2を参照)。
表2 チェックリストと人民議会選挙の関係
| 項目 | 合致しているか | 根拠 |
| 1. | 〇 | 2025年政令第143号の発布及びSNS上での公開。 |
| 2. | × | 憲法宣言に記載なし。 |
| 3. | × | 大統領による承認のみ。 |
| 4. | 〇 | 政令第143号第3章第6条、第5章第9条・10条、第9章第28条・29条。 |
| 5. | × | これを規定した条文なし。 |
| 6. | △ | 人民議会選挙のみの規定なので、地方選挙に関する記載なし。 |
| 7. | × | 選挙法の急な修正を実施(青山[2025h])。 |
| 8. | × | 全議席の三分の一は大統領が直接指名(政令第143号第11章第38条)。 |
| 9. | △ | 議席数の記載はあるが、公式は記載なし。 |
| 10. | × | 政令第143号第9章第26条、立候補者は事前層人を受ける必要があり、その段階で示威的な排除が行われている可能性あり。 |
| 11. | 〇 | 憲法宣言第26条。 |
| 12. | × | 国家内の多様性を保証する制度的枠組みが存在していない。 |
| 13. | × | 行政区とそのまま選挙区とし、選挙区の人口差も大きい(青山[2025a])。 |
| 14. | × | 大統領による2025年政令第66号で選挙区割りを担う人民議会選挙高等委員会が設置されているため、独立性に欠ける。 |
| 15. | × | 政党が存在していない。 |
| 16. | × | これを規定した条文なし。 |
| 17. | △ | 大統領による2025年政令第66号で選挙区割りを担う人民議会選挙高等委員会が設置されているため、独立性に欠ける。 |
| 18. | 〇 | 政令第66号で人民議会選挙高等委員会が設置され、その職務に選挙区割りがある。 |
| 19. | × | これを規定した条文なし。 |
| 20. | × | 政令第143号第1章第1条。 |
| 21. | × | 政令第143号第1章第1条、第8章第21条。 |
| 22. | × | これを規定した条文なし。 |
| 23. | × | 政令第143号第3章第6条(大統領による任命なので独立性に疑問が残る)。 |
| 24. | 〇 | 政令第143号第3章第6条。 |
| 25. | 〇 | 政令第143号第3章第6条。 |
| 26. | △ | 政令143号第3章、4章、5章、6章で定めているものの、政府やその他行政機関との関係は不明瞭。 |
| 27. | × | これを規定した条文なし。 |
| 28. | × | 大統領がメンバーを同時に指名(青山[2025a])。 |
| 29. | × | 7月に9月の選挙実施を発布したが、その後実施を遅らせている。 |
| 30. | 〇 | 政令143号第3章第6条。 |
| 31. | × | 政令第143号第8章第21条から、選挙人団の選出に関わる規定が曖昧。 |
| 32. | × | これを規定した条文なし。 |
| 33. | × | 政令第143号第8章第21条から、選挙人団の選出に関わる規定が曖昧。 |
| 34. | 〇 | 政令第143号第11章第33条(青山[2025d])。 |
| 35. | × | 人民議会選挙高等委員会の2025年決定第22号(青山[2025e])。 |
| 36. | 〇 | 人民議会選挙高等委員会の2025年決定第22号(青山[2025e])。 |
| 37. | × | これを規定した条文なし。 |
| 38. | △ | 政令143号第10章第30条で規定するも、外務在外居住大臣が一部候補者を称賛する行動を取った(青山[2025f])。 |
| 39. | × | 政府の承認を受け、選挙人団に入る必要がある。 |
| 40. | × | 政令第143号第1章第1条、第8章第21条。 |
| 41. | × | 政令第143号第1章第1条、第8章第21条。 |
| 42. | 〇 | 政令第143号第8章第22条。 |
| 43. | × | これを規定した条文なし。 |
| 44. | × | 政令143号第10章第29条で、選挙運動の内容を一部規定している。 |
| 45. | 〇 | 政令第143号第10章第28条。 |
| 46. | × | これを規定した条文なし。 |
| 47. | △ | 政令143号では、「他候補者の選挙運動の手段を妨害または侵害することを禁止する」とのみ規定されている。 |
| 48. | × | これを規定した条文なし。 |
| 49. | 〇 | 政令143号第10章第29条。 |
| 50. | × | これを規定した条文なし。 |
| 51. | × | これを規定した条文なし。 |
| 52. | × | 政令143号第10章第29条で、選挙運動中の表現に関して制限を課している。 |
| 53. | × | これを規定した条文なし。 |
| 54. | × | これを規定した条文なし。 |
| 55. | × | これを規定した条文なし。 |
| 56. | 〇 | 政令第143号第10章第30条。 |
| 57. | × | これを規定した条文なし。 |
| 58. | × | これを規定した条文なし。 |
| 59. | × | これを規定した条文なし。 |
| 60. | × | これを規定した条文なし。 |
| 61. | × | これを規定した条文なし。 |
| 62. | 〇 | 政令第143号第11章第33条。 |
| 63. | 〇 | 政令143号第11章第33条。 |
| 64. | × | これを規定した条文なし。 |
| 65. | × | これを規定した条文なし。 |
| 66. | × | これを規定した条文なし。国際監視団の招待もなされていない。 |
| 67. | × | これを規定した条文なし。 |
| 68. | 〇 | 政令143号第11章第33条。 |
| 69. | 〇 | 政令143号第11章第33条。 |
| 70. | × | これを規定した条文なし。 |
| 71. | × | これを規定した条文なし。 |
| 72. | × | これを規定した条文なし。 |
| 73. | × | これを規定した条文なし。 |
| 74. | × | 憲法宣言第26条、政令第143号第11章第38条に記載があるが、最終認証が大統領に委ねられているため、明確ではない。 |
| 75. | × | これを規定した条文なし。 |
| 76. | × | これを規定した条文なし。 |
| 77. | 〇 | 政令第143号第11条第33条。 |
| 78. | × | これを規定した条文なし。 |
| 79. | × | これを規定した条文なし。 |
| 80. | × | これを規定した条文なし。 |
| 81. | 〇 | 政令第143号第9章第29条。 |
| 82. | × | 政令第143号第13章第50条に、選挙の視察団について規定されているが、その招待の権限をすべてEMBに委任しており、視察ではなく監視に関する法的な枠組みは確認できない。 |
| 83. | × | 政令第143号第13章第50条に、選挙の視察団について規定されているが、その招待の権限をすべてEMBに委任しており、認定要件の明確かつ客観的な基準は確認できない。 |
| 84. | 〇 | 政令第143号第13章第50条。 |
| 85. | × | 政令第143号第13章第50条に、選挙の視察団について規定されているが、その招待の権限をすべてEMBに委任しており、認定要件の明確かつ客観的な基準は確認できない。 |
| 86. | × | 監視者に関する記述はなし。 |
| 87. | × | これを規定した条文なし。 |
| 88. | × | 政令第143号第13章第50条では、EMBによる監視団の招待のみ規定されており、監視が法的に保護される仕組みにはなっていない。 |
| 89. | △ | シリア法務省が、選挙実施に際して法律の遵守を確保するための法令の確認を発布した(The Syrian Observer[2025])が、解釈が曖昧な部分もあるため、政権による恣意的な法の執行が可能になっている。 |
| 90. | 〇 | (SANA[2025a])で規定。 |
| 91. | × | (SANA[2025a])で、上訴を認めないことを明言。 |
| 92. | 〇 | (SANA[2025a])で起源を明言。 |
注:人民議会選挙をこのチェックリストに照らし合わせ、項目と一致した場合は「〇」、一部一致した場合は「△」、一致していない場合は「×」を記入し、今回の選挙の民主度を可視化した。
出所:The International Institute for Democracy and Electoral Assistance [2002: 5-94]を基に筆者作成。
例に挙げた米国と日本と同様、全体に占める「〇」のみの割合および、「〇」と「△」をあわせた割合を測ると、小数点以下を四捨五入した人民議会選挙の合致度は、22~28%となる。ガイドラインでは、チェックリストを何パーセント満たせば民主的と言えるのかについては言及されていなかった。しかし、合致する項目が半分以下であることを踏まえると、今回の人民議会選挙は「民主的ではない」と評価することができるだろう。
おわりに
アサド政権崩壊後、アフマド・シャルア暫定大統領を中心とする移行期政権が2025年10月5日に実施した人民議会選挙は、「独裁政権」打倒後の「民主化」への第一歩のようにも見えた。しかし、2025年10月3日付のロイター通信(Reuters[2025a])の報道にあるように、選挙制度の全体が明らかになるにつれ、選挙への期待に加え不安もみられるようになった。
選挙実施後は、選挙制度や投票過程について、世界各国の様々な媒体がこれを論評したが、この選挙を肯定的に評価する媒体と、否定的に評価する媒体とが混在しており、選挙に対する評価が定まっていなかった。この要因の一つとしては、それぞれの媒体が、自らの思惑に沿った評価基準でこの選挙を分析したためであり、真に客観的な評価をするためには、世界的に受け入れられている基準を用いる必要があった。そこで本稿では、IDEA[2002: 5-94]の「民主的選挙へのガイドライン」を基準に、今回の選挙を分析した。
分析結果として、今回の選挙は、民主的選挙のための92項目のうち、20項目に合致した一方、一部合致は6項目、不一致は66項目に及んだ。これを百分率で表した人民議会選挙の合致度は、22~28%となり、民主的選挙のための要件を半分も満たしていない。そのため、この選挙は、「民主的ではない」と評価することができた。
シリアでは現在、移行期政権が全土に及ぶ完全な支配を確立しておらず、北東部で自治を行うクルド民族主義組織の民主統一党(PYD)、イスラエルの庇護を受けて南部のスワイダー県の実効支配を確立したムワッヒド・ドゥルーズ精神指導部、そしてラタキア県、タルトゥース県、ヒムス県、そしてハマー県の一部からなる「中・西部シリア地域」の設置を構想する中・西部シリア政治評議会(PCCWS)といった勢力が乱立している(青山[2025c])。群雄割拠のなかでは、全体を包括するような選挙制度を作り、すべてのアクターが等しく政治参加できるような制度の構築が急務であった。しかし、今回の人民議会選挙は、すべてのアクターを包括するような民主的なものとはいえなかった。実際、PCCWSがフェイスブックを通じて選挙のボイコットを呼びかけるなど(青山[2025g])、分断はむしろ深まったともいえる。人民議会選挙が終わり、議会の招集が待たれる中、今後どのように分断の深まった国内政治を軌道に乗せるのか注目に値する。
参考文献
-
- 青山弘之[2025a]「シャルア暫定大統領は、2025年政令第66号を発布し、人民議会選挙高等委員会を設立:議会の定数を150議席と定め、各県に議席を配分」シリア・アラブの春顛末記:最新シリア情勢、6月13日。
- ———[2025b]「シャルア暫定大統領は、2025年政令第143号を発布し人民議会の暫定選挙制度を承認:旧体制とテロ組織の支持者、分離や分裂、外国勢力への依存を唱える者の出馬を禁止」シリア・アラブの春顛末記:最新シリア情勢、8月20日。
- ———[2025c]「シリアのアラウィー派、「中・西部シリア地域」を構想:クルド人、ドゥルーズ派に続いて自治・分離を志向か」YAHOO! JAPAN ニュース、8月28日。
- ———[2025d]「人民議会選挙高等委員会は、選挙人団への立候補に必要な書類、選定にかかる支部委員会の活動スケジュールを定める」シリア・アラブの春顛末記:最新シリア情勢、9月7日。
- ———[2025e]「人民議会選挙高等委員会は2025年決定第22号を発出し、選挙団の暫定メンバー関する異議申立て手続きについて定める」シリア・アラブの春顛末記:最新シリア情勢、9月19日。
- ———[2025f]「人民議会選挙高等委員会は選挙人団メンバーに対する異議申し立ての提出期間を9月21日まで延長:デジタル・クリエーターのムウタッズ・ハッターブ氏は妻も選挙人団メンバー候補となっていたため辞退したと発表、シャイバーニー暫定外務在外居住者大臣はこれを称賛」シリア・アラブの春顛末記:最新シリア情勢、9月20日。
- ———[2025g]「中・西部シリア政治評議会(PCCWS)は人民議会選挙のボイコットを改めて呼び掛ける」シリア・アラブの春顛末記:最新シリア情勢、10月4日。
- ———[2025h]「シリア人権監視団は人民議会選挙を「シャーム解放機構が独裁的統治を復活させたと非難」と批判」シリア・アラブの春顛末記:最新シリア情勢、10月5日。
- 『朝日新聞』[2025]「シリア議会選、来月に」9月23日。
- 髙岡豊[2011]「シリア——「真の戦争状態」が必要とする「独裁」政権」、青山弘之編『「アラブの心臓」に何が起きているのか——現代中東の実像——』岩波書店、30~54ページ。
- 『日本経済新聞』[2025]「シリアで議会選挙実施——アサド政権崩壊後初——」10月6日。
- The Arab News[2024]“Israel FM ‘Concerned over New Leadership in Syria,” December 31.
- Haid, Haid[2025]“It Is Difficult to Say Whether These Elections Have Generated Unity And Legitimacy among The Population,” Italian Institute for International Political Studies(IPSI), October 9.
- Italian Institute for International Political Studies(IPSI)[2025]“Syria’s First Post-Assad Parliament: Political Restructuring in a Region of Uncertainties,” October 9.
- al-Lajna al-‘Ulyā li-Intikhābāt Majlis al-Sha‘b[2025]“al-Qarār Raqm (30) li-‘Ām 2025,” September 11.
Reuters[2025a]“Syria to Establish First Post-Assad Parliament amid Political Inclusivity Concerns,” October 3. - ———[2025b]“First Results for Syria’s New Parliament Show Low Share for Minorities, Women,” October 7.
- Syrian Arab News Agency(SANA)[2025a]“Lajna Intikhābāt Majlis al-Sha’ab al-Sūrī Tuḥaddid ‘Ijrā’āt al-Ṭu’ūn al-Intikhābīya,” September 20.
- ———[2025b]“Dblūmāsīyūn Tāba’ū Sīra al-Intikhābāt bi-Dimashq: ‘Amalīya Munaẓẓama wa Shaffāfa wa Iltizām li-Ḍamān Nzāhatahā,” October 6.
- al-Sibasbī, Shām[2025]“Majlis al-Sha’ab al-Sūrī al-Jadīd..Tajriba Dīmqurāṭīya ‘alā-Anqāḍ al-Istibdād,” October 5.
- ———[2025c]“A’aḍā’ al-Hai’āt al-Nākhiba Yudlūn bi-Aṣwātihum fī-Maqarr Majlis al-Sha’ab bi-Dimashq li-Intikhāb A’alā al-Majlis ‘an-Ḍā’iratai R’as al-‘Ain wa Tel Abyaḍ,” October 23.
- The Syrian ObserverR[2025]“Syrian Justice Ministry Details Misdemeanors Disqualifying Electoral Participation,” August 21.