第3次フサイン・アルヌース内閣(2023年3月29日5閣僚交代)

木戸皓平・浪内紫雲・萩原優太

バッシャール・アサド大統領は2023年3月29日、2023年政令第91号を発し、フィラース・ハサン・カッドゥール博士を石油鉱物資源大臣に、ムフスィン・アブドゥルカリーム・アリー氏を国内通商消費者保護大臣に、アブドゥルカーディル・ジューフダール氏を工業大臣に、ルアイ・イマードッディーン・ムナッジド氏を社会問題労働大臣に、アフマド・ムハンマド・ブースタジー氏を国務大臣にそれぞれ任命した。同政令により、ムハンマド・ファーイズ・バルシャ氏は国務大臣としての任期を終えることが規定された。

新閣僚らのプロフィールは以下の通りである。

石油鉱物資源大臣 フィラース・ハサン・カッドゥール

    • 1962年、ダマスカス郊外県出身
    • 機械工学で博士号取得、専門は機械製造技術
    • シリア石油会社(Syrian Petroleum Company、SPC)の現最高経営責任者

過去の職歴

    • 2015年、フラート石油会社(Al Furat Petroleum Company、AFPC)の会長兼最高経営責任者に就任
    • 2008年、ダイル・ザウル石油会社(Deir Ezzor Petroleum Company、DEZPC)の会長に就任
    • 2004年、フラート石油会社の技術支援部長に就任
    • 2002年、シリア石油会社の技術副部長

国内通商消費者保護大臣 ムフスィン・アブドゥルカリーム・アリー

    • 1968年、ラタキア県カフルダビール村出身
    • 2004年、ダマスカス大学で法学の学士号を取得
    • 2014年から現在まで、金属・建築材国内通商公団(ウムラーン)の代表を務める

過去の職歴

    • 2007年から2012年まで、消費者局の代表を務める
    • 1995年から1999年までタルトゥース県バーニヤース市で軍事社会局の支部長を、1999年から2001年までダマスカス県ハルブーニー地区で同局支部長をそれぞれ務める
    • 2005年から2007年まで、金属・建築材国内取引公団の材料部門長を務める
    • 2012年から2014年まで、内閣首相顧問を務める

工業大臣 アブドゥルカーディル・ジューフダール

    • 1968年、アレッポ県出身
    • アレッポ大学電気電子工学部を卒業
    • 英国の王立アバディーン大学の電子工学部で、スマートコントロールシステムに関する博士号を取得

過去の職歴

    • 2019年から2020年まで、アレッポ大学の電気・電子工学部学部長
    • 2015年から2019年まで、アレッポ大学の電気・電子工学部副学部長(化学担当)
    • 2009年から2013年まで、アレッポ大学の機械工学部学部長
    • 既婚、3子の父

社会問題労働大臣 ルアイ・イマードッディーン・ムナッジド

    • 顧問 – 内閣首相・経済委員会調査部門
    • 第10次5カ年計画評価・第11次5カ年計画準備チームにおける専門家
    • 運輸省の諮問委員会メンバー、官民共同参画局を創設
    • 官民協力法(PPP)検討委員会のメンバー
    • 公共産業部門再編法委員会のメンバー
    • シリア競争監視団の創設メンバー
    • 石油製品・エネルギーキャリア向け支援の再構築およびこれが各経済部門に与える影響委員会のメンバー
    • 東アラブ地域の国々(レバノン・ヨルダン・イラク・シリア)を通した商業円滑化計画チームのメンバー
    • 複数の国際機関、地域機関と契約している主要顧問
    • 顧問 – 内閣首相府諮問委員会
    • 顧問 – 高等教育省
    • 顧問 – シリア全国学生連合
    • シリア輸出業者組合を創設
    • ダマスカス慈善団体連合の顧問
    • 既婚、三子の父

国務大臣 アフマド・ムハンマド・ブースタジー

    • イドリブ県出身
    • 人民議会所属
    • ダマスカス大学法学部卒業
    • 法務省所属の国家弁護士を10年間務める
    • 弁護士組合イドリブ支部所属の弁護士として勤務。弁護士組合イドリブ支部委員会のメンバー
    • シリア統一社会主義者党中央委員会メンバー、同党政治部メンバー
    • イドリブ県議会議員として2期以上、のちに人民議会議員として選出される
    • 既婚、3男1女の父

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就任式は4月1日に行われた。

 

5閣僚は就任後にフサイン・アルヌース首相とともにアサド大統領と会談した。




会談でアサド大統領は、人事改編はそれ自体が目的ではなく、省庁や関連機関における仕事の水準を高めるための手段だとする一方、人事改編は閣僚の氏名とは関係なく、客観的現実を踏まえて着任した省庁や関連機関に新たな何を提供することができるか、省庁や関連機関の役割を強化する作業システム、ダイナミズムを付与することができるかが重要だと強調した。

 

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これにより、第3次フサイン・アルヌース内閣の閣僚は以下の通りとなった。

首相 フサイン・アルヌース

      •  アラブ社会主義バアス党(中央指導部メンバー)
      •  1953年、イドリブ県出身

国防大臣 アリー・マフムード・アッバース 新

      • アラブ社会主義バアス党
      • 1964年、ダマスカス郊外県バラダー渓谷のイフラ村出身

運輸大臣 ズハイル・ムスタファー・ハズィーム

    • 不明
    • 1963年、ラタキア県出身

外務在外居住者大臣 ファイサル・ミクダード

    • アラブ社会主義バアス党
    • 1954年、ダルアー県ガサム村出身

観光大臣 ムハンマド・ラーミー・ラドワーン・マルティーニー

    • 不明
    • 1970年、アレッポ県出身

教育大臣 ダーリム・タッバーア

    • 不明
    • 1958年、ダマスカス県出身

経済対外通商大臣 ムハンマド・サーミル・アブドゥッラフマーン・ハリール

    • 不明
    • 1977年、ダマスカス県出身

公共事業住宅大臣 スハイル・ムハンマド・アブドゥッラティーフ

    • 不明
    • 1961年、ラタキア県出身

工業大臣 アブドゥルカーディル・ジューフダール

    • アラブ社会主義バアス党
    •  1968年、アレッポ県出身

高等教育科学研究大臣 バッサーム・バシール・イブラーヒーム

    • アラブ社会主義バアス党
    • 1960年、ハマー県出身

国内通商消費者保護大臣 ムフスィン・アブドゥルカリーム・アリー

    • アラブ社会主義バアス党
    • 1968年、ラタキア県カフルダビール村出身

財務大臣 キナーン・ヤーギー

 

    • 不明
    • 1976年、ハマー県サラミーヤ郡出身

社会問題労働大臣 ルアイ・イマードッディーン・ムナッジド

    • アラブ社会主義バアス党
    • 1964年、ダルアー県生まれ

宗教関係大臣 ムハンマド・アブドゥッサッタール・サイイド

    • 無所属
    • 1958年、タルトゥース県出身

情報大臣 ブトルス・ハッラーク

    • 不明
    • 1966年、ダマスカス郊外県ヤブルード市出身

水資源大臣 タンマーム・ムハンマド・ラアド

    • 不明
    • 1965年、ヒムス県出身

石油鉱物資源大臣 フィラース・ハサン・カッドゥール

    • アラブ社会主義バアス党
    •  1968年、ラタキア県カフルダビール村出身

地方行政環境大臣 フサイン・マフルーフ

    • アラブ社会主義バアス党
    • 1964年、ラタキア県出身

通信技術大臣 イヤード・ムハンマド・ハティーブ

    • 不明
    • 1974年、ダマスカス県出身

電力大臣 ガッサーン・ザーミル

    • アラブ社会主義バアス党
      • 1963年、ダマスカス県出身

内務大臣 ムハンマド・ハーリド・ラフムーン

      • アラブ社会主義バアス党
      • 1957年、イドリブ県出身

農業・農業改革大臣 ムハンマド・ハッサーン・カトナー

      • アラブ社会主義バアス党
      • 1960年、ダマスカス県出身

文化大臣 ルバーナ・ムシャウウィフ

      • 不明
      • 1955年、ダマスカス県出身

保健大臣 ハサン・ガッバーシュ

      • 不明
      • 1971年、ダマスカス県出身

法務大臣 アフマド・アワド・サイイド

      • 不明
      • 1965年、クナイトラ県出身

行政開発担当国務大臣 サラーム・ムハンマド・サッファーフ

      • 不明
      • 1979年、ハマー県出身

大統領府担当国務大臣 マンスール・ファドルッラー・アッザーム

      • アラブ社会主義バアス党
      • 1960年、スワイダー県出身

国務大臣 アフマド・ムハンマド・ブースタジー

    • シリア統一社会主義者党
    • 生年不明、イドリブ県出身

国務大臣 アブドゥッラー・サッルーム・アブドゥッラー

      • 社会主義統一主義者党
      • 1956年、アレッポ県カズル・マズラア村出身

国務大臣 ディヤーラー・バラカート

      • シリア民族社会党
      • 1980年、ヒムス県出身

 

(出所)SANA, March 29, 2023April 1, 2023、「シリア・アラブの春顛末記:最新シリア情勢」2023年4月1日シリア人民議会HP

(2023年4月3日作成)