北・東シリア地域民主自治局社会契約(全訳)

CMEPS-J Report No. 99(2025年4月24日作成)

浪内 紫雲

pydrojava.org、2023年12月13日

北・東シリア地域民主自治局(al-Idāra al-Dhātīya al- Dīmuqrāṭīya al-Iqlīmīya li-Shamāl wa Sharq Sūriyā、以下、自治局)は、2023年12月12日、国家の憲法にあたる社会契約を「交付」し「施行」した。北・東シリア地域民主自治局とは、シリア政府に対するクルド民族主義組織の民主統一党(Ḥizb al-Ittiḥād al- Dīmuqrāṭī:Partiya Yekîtiya Demokrat、クルド語名:Partiya Yekîtiya Demokrat、略称:PYD)が主導する暫定自治政体である。その前進組織は、2014年に樹立した西クルディスタン移行期民政局(al-Idāra al-Madanīya al-Mu’aqqata li-Gharb Kurdistān – Sūriyā、通称ロジャヴァ(Rojava、クルド語で「西」を意味))であり、支配領域の拡大に伴い、名称を変更し、その支配体制の制度化を試みてきた[青山 2019]。

自治局は、自らの支配に法的な正当性を付与するべく、独自の法制度を確立し、それを実行してきた。その代表的な法が、本稿にて全訳した社会契約である。社会契約の始まりは、2014年ロジャヴァ樹立直後に発表された社会契約憲章にある。この社会契約憲章は、2016年3月16日および17日の2日間にわたって憲法制定議会会議が開かれ、31人のメンバーからなる組織評議会によって社会契約とその包括的な政治的および法的ヴィジョンが準備され[Allsopp and Wilgenburg 2019:124–125、AFN News, March 18, 2016]、2017年6月30日に社会契約として改訂し、公表された[青山 2019]。

本稿にて全訳した社会契約は、これら二つの内容の改訂版であり、最も文量が多く、現在の自治局の支配体制や理念を理解する上で欠かせないものである。また、ダマスカス暫定政府との接近が観察されるなか、この社会契約に記されている内容は示唆に富むものである。

以下、自治局の社会契約を全訳する。

北・東シリア地域民主自治局社会契約

前文

クルド人、アラブ人、シリア・アッシリア人、トルクメン人、アルメニア人、チェカシア人、イスラム教徒、キリスト教徒、ヤズィード教徒である、われら北・東シリアの男女は、殉教者がわれらに課した義務に対する自覚と信念に基づき、尊厳ある生を希求する我らの人民の要請に応じ、シリア人による崇高なる犠牲に報いるべく、北・東シリアにおいて民主的な体制を確立し、人種差別的傾向や差別、排除その他一切のアイデンティティの疎外を排したシリアの未来の礎を築くため、団結してきた。われらはともに、専制、裏切り、過激主義に抗し、一切の民族主義、宗教主義、ジェンダー主義及び世俗的狂信主義を排除する。民主的ウンマ原則の採用は、われらの国民統合を強化し、敵に立ち向かう力を我らに与え、友邦への希望を与えるものである。われら北・東シリアの諸人民は、シリアの歴代の非民主的な政権及び数千年にわたる国家の中央集権化及び権威主義的政策、並びに本地域を支配する現代資本主義の諸実践に苦しめられてきた。われらは、長きにわたり、あらゆる不正及び抑圧に晒されてきた。われらは、民主的な自治行政に基づく民主的な体制を樹立し、すべての人民及び構成員の間における正義と平等を実現し、すべての文化的、宗教的及び思想的アイデンティティを保持し、寛容かつ多様性に富んだ文化を広め、暴力を一切否定し、正当防衛の原則を採ることを決意する。

北・東シリアにおける女性の指導的役割の下に達成された社会革命は、知的及び社会的復興の端緒となり、女性は民主的な体制の基本的支柱として位置付けられる。あらゆる構成員を結集するための若者による闘争及び犠牲もまた、諸人民の同胞愛の強固及び強化において歴史的役割を果たしてきた。諸人民の意により実現された民主自治局は、環境民主社会、共同議長制、社会経済、社会正義及び民主連合制の原則に基くものである。北・東シリア民主自治局は、シリアの不可欠な一部であり、民主的な体制の樹立及び共通の価値観の創出により、過去何年にもわたり政治的立場を表明してきた。これにより、同局は、正当な統一のための強固な基盤を形成し、シリア民主共和国の建設における柱をなすものとする。よってわれながらら北・東シリアの諸人民は、そのすべての構成員とともに、完全な自由及び選択のもと、中東及び全人類の価値体系並びに民主主義文明の遺産に則り、本社会契約を制定するものであり、これをもってシリア人の自由、平和及び統一を保障する。

第1部:基本原則

第1条 この契約は、北・東シリア地域民主自治局の社会契約であり、前文はその核心かつ不可欠な要素とする。

第2条 北・東シリア地域民主自治局は、民主的、環境的及び社会的な体制並びに女性の自由を採用する。

第3条 北・東シリア地域民主自治局は、現代資本主義に対峙するなか、現代民主主義の原則に則り、道徳的かつ政治的社会の発展及び強化に努める。

第4条 北・東シリア地域民主自治局は、自由で平等な参加に基き、民主的な選挙を通じて諸人民及び集団の意により、その正統性を確保する。

第5条 北・東シリア地域民主自治局は、シリア民主共和国の一部とする。

第6条 北・東シリア地域の地理におけるすべての言語は、社会、教育及び文化の生活各分野において平等に取り扱われる。すべての人民又は文化集団は、自己の母語により生活を営み、自らに関する事項を処理する権利を有する。

第7条 言語:アラビア語、クルド語、シリア語は、民主自治局の郡における公用語とする。

第8条 北・東シリア地域民主自治局は、シリア民主共和国の国旗と並び掲げられる独自の場所、旗及び紋章を有し、法律でこれを定める。

第9条 北・東シリア地域民主自治局は、司法独立を原則とする。

第10条 宣誓:アッラー及び殉教者に誓い、社会契約及びその条項を遵守し、諸人民の民主的権利並びに殉教者の価値を保持し、北・東シリア地域民主自治局及びシリア民主共和国の地域における自由、安全及び治安を保障し、民主主義国家の原則に従い、自由かつ平等な生活及び社会正義の実現のために尽力することを誓う。

第11条 北・東シリア地域民主自治局は、社会集団及び階層の民主的な組織に基づく民主制を採用する地方民主主義の概念に基く地区により構成される。

第12条 北・東シリア地域民主自治局は、民主的及び組織的な社会並びに自由な個人を基礎とし、直接民主制の原則に従い、人民、集団及び構成員の地方組織により構成される。

第13条 構成員に直接影響を及ぼす決定は、同意の原則に従い行われる。

第14条 環境及び社会民主主義的な生活を基本とし、自然に対する不当な扱い、略奪及び破壊を防止するため、環境的かつ民主的な社会の形成に努める。

第15条 自由かつ公正な民主的社会体制に基づき、北・東シリア地域のすべての人民及び諸集団の間における同胞愛精神に満ちた民主的ウンマの諸原則に従い、共存の価値を保持する。

第16条 北・東シリア地域民主自治局は、クルド人の政治的、経済的及び文化的権利を保障し、クルド地域の歴史的特徴と正当な人口構造とを保持する。

第17条 北・東シリア地域民主自治局は、シリア・アッシリア人の政治的、文化的及び経済的権利を保障し、その価値及び歴史的存在を保持する。又、代表制の正義及び合意の原則に基づき、当該地域における一切の人口構造の変更を認めない。

第18条 民主自治局は、自給自足かつ持続可能で均衡のとれた発展を目指す社会経済の原則を採用する。

第19条 民主自治局は、女性のための社会経済の発展を図り、女性に対するいかなる形態の搾取及び商品化にも反対する。

第20条 自然の富及び資源は、社会に属するものとする。これらは、地域の必要性に応じて公正な方法により利用及び投資され、法律でこれを定める。

第21条 すべての社会のための健康保険を発展させ、公的保健医療サービスは無償とする。

第22条 教育及び保健医療の分野における独占は禁止される。

第23条 殉教は神聖な価値と見做し、自治局は殉教者、戦傷者及び捕虜の遺族に対し、ケア及び尊厳ある生活を保障する。

第24条 北・東シリア地域民主自治局は、政治、社会、行政その他すべての分野において共同議長制を採り、これを男女平等の基本原則とする。また、女性のための民主連合制を自らの構成体として組織し、奉仕するよう努める。

第25条 社会における女性の自由及び権利並びに男女の平等を保障する。

第26条 女性は、平等かつ協業的な生活を基礎とする民主的な家庭において、自由意を享受する。

第27条 市民、社会及びすべての組織並びに財団は、環境生命及び生態系の保全に対する責務を負う。

第28条 青少年は、社会における効果的かつ先駆的な力である。青少年は、あらゆる社会活動において自己を自律的に組織し、自由意思及び組織力をもって生活のあらゆる分野に参加する。

第29条 民主自治局の諸機関におけるすべての構成員は、地域の人口構成に応じ、公正に代表される。

第30条 外的または内的危険に対する自己防衛は、正当な権利であると定める、民主自治局の下に生活する個人及び集団は、侵略を受けた場合、自己を守り、尊厳を保持しなければならない。

第31条 民主自治局の市民は、自由な個人であり、道徳的及び民主的価値を有し、複数のコミューンに参加する権利を有する。

第32条 シリア北東部の人民の歴史的遺跡、遺物及び文化遺産は、すべての個人及び社会が保存しなければならない国家遺産である。

第33条 法律文書で定める場合を除き、何人も罪に問われ、処罰されない。

第34条 被告人は、最終判決により有罪と確定するまでは無罪と推定される。

第35条 租税及び手数料は、法律で定める場合を除き、課されない。

第36条 北・東シリア地域民主自治局は、占領された領土を解放し、当該地域の住民を帰還させることを公約する。

第2部:基本的権利と自由

第37条 北・東シリア地域民主自治局は、世界人権宣言その他すべての人権規定を遵守する。

第38条 生存の権利は、基本的かつ侵すことのできない権利である。死刑の判決は認められない。

第39条 人間の尊厳は保障され、何人も、精神的及び身体的拷問を受けてはならず、加害者は、法に従い処罰される。

第40条 すべて人は、信仰、良心、思想及び意見の自由を有する。

第41条 ヤズィード教は、独立した宗教であり、その信者は、その宗教的、社会的及び文化的プライバシーを保護し、その組織及び民主自治局の関係機関を通して、いかなる種類の同化及び根絶からも保護される権利を有する。

第42条 すべて人は、法律の定めるところにより、集会、行進及び抗議を行う権利を有する。

第43条 政治思想の自由は、すべての人民、構成員及び個人に保障され、これらの者は、法律の定めるところにより、自己の念願を代表する政党を結成し、設立する権利を有する。

第44条 人民及び構成員は、コミューン、評議会、互助組合、アカデミー、自治局において、自由に組織し、自己を表現する権利を有するものとする。

第45条 社会諸集団は、特に法的枠組み従い、コミューン、評議会、組合、連合、会議所または協会などの形態で自由に組織し、活動を行うことができる。

第46条 抑圧、同化、文化的大量虐殺、人口構造の変化、占領及び強姦は、すべて人道に対する犯罪とし、諸人民及び諸集団は、これらに抵抗する正当な権利を有する。

第47条 村、地区、町、市、地域の各行政区画は、この契約の内容に反しない限りにおいて、自己に関する事項及び事務について決定する権利を有する。

第48条 すべて人民は、民主的な政治、法律に従った立候補及び選挙に参加する権利を有する。

第49条 何人も、肌の色、性別、人種、宗教、信仰または宗派の違いにより、差別、侮辱又は排除されない。

第50条 女性に対するいかなる種類の暴力の実践、搾取及び否定的差別の押しつけは、法により処罰される犯罪とする。

第51条 女性は、生活のあらゆる分野への平等な参加及び自己の事柄に関する決定を行う権利を有する。

第52条 青年は、特に、自己を組織し、生活のあらゆる分野において組織的かつ自発的に参加する権利を有する。

第53条 民主自治局と社会は、特別なニーズを有する人びとが生活のあらゆる分野において心身ともに参加するために必要な支援を提供し、これを満たすことができない者には尊厳ある生活を保障する。

第54条 高齢者は社会の記憶者かつ知識人であり、社会保障を受け、生活のあらゆる側面に適切に参加し、相応の評価を受ける権利を有する。

第55条 児童の権利は保護され、法律の定めるところにより、児童に対する暴力の行使、雇用、搾取、徴用は禁止される。

第56条 すべて人は、公正な裁判を受ける権利を有する。

第57条 私的空間又は住居の差押え、侵入及び捜索は、司法の許可がある場合又は現行犯の場合を除いては認められない。

第58条 個人の自由は、法律上の文書に基づかない限り、制限されない。

第59条 すべて人は、健全な環境社会において生活する権利を有する。

第60条 文化的、民族的及び宗教的集団並びにその諸構成員は、その民主的な組織及び機関を命名並びに結成し、その文化を保持する権利を有する。いかなる個人又は諸構成員も、自己の信仰、思想及び文化を他者に強制する権利を有しない。

第61条 自治局は、社会の発展及び平和的共存のため、部族及び氏族の歴史的価値の向上に努め、社会契約と矛盾する一切の部族の慣習を排除する。

第62条 教育はすべての段階において無償とし、初等及び中等教育は義務とする。

第63条 すべて市民は、労働、移動及び居住の権利を有する。

第64条 勤労者の権利及び組織並びに社会生活を営む権利は、法律の定めるところにより保障される。

第65条 メディア、報道及び出版の自由は、法律の定めるところにより保障される。

第66条 すべて人は、法律の定めるところにより、情報にアクセスし取得する権利を有する。

第67条 すべての人は、法律の定めるところにより、文化的、芸術的及び社会的活動の発展及び普及を図り、これらへの参加による利益を享受する権利を有する。

第68条 すべて人は、法律の定めるところにより、人道上及び政治上の亡命を要求し、迫害を排除する権利を有する。政治的避難民は、法律の定めるところにより、本人の同意なく自国に送還されない。

第69条 自然の富及び資源は、社会に属する公共財であり、これらの私的所有は禁止され、この投資、管理及び処分は、法により公正に規制される。

第70条 私有財産は、法律の定めるところにより、保護され、公共の利益のためでなければ収用してはならず、その場合には公正な補償を要する。

第71条 人口構造の変更を目的とする財産の所有及び譲渡は認められない。

第72条 北・東シリア地域民主自治局及びシリア民主共和国の地域に対するいかなる攻撃も防ぐため、すべての住民は正当な防衛に参加する権利及び義務を有する。

第73条 知的財産は、法律の定めるところにより、保護される。

第3部:社会制度

第1章

第74条 北・東シリア地域民主的自治局は、連合制に従い組織されるコミューン、評議会、アカデミー、協同組合及び社会経済主体並びに社会制度を補完する機関の諸形態に基づき、民主的かつ自由な共同体生活を組織するものである。社会の民主的システムは、これらの制度に基づいて発展及び強化される。

第75条 コミューン
コミューンは、直接民主制の基本的な草の根組織であり、北・東シリア地域民主自治局における最小の行政区画とする。コミューンは、道徳的及び政治的な社会の発展の場であり、社会的、経済的及び文化的生活を生み出す場である。コミューンは自律的な評議会として意思決定及び行政を担う場であり、行政及び組織に関する社会的課題を解決する権限を有する。

第76条 コミューンの構成
1 – コミューンは、コミューンの行政上及び地理的範囲内に居住する複数の家庭で、これを構成する。
2 – 北・東シリア地域のすべての住民は、コミューンのメンバーとする。
3 – 共同議長及び委員会は、コミューンのメンバーにより選出される。コミューンの共同議長や委員会が必要な職務を遂行しない場合には、信任投票を行い、総選挙を待たずして選挙を行うことができる。
4 – コミューンは、その職務において直接民主制を採用する。

第77条 人民議会
人民議会は、人民を代表するコミュニティ単位である。 北・東シリア地域の村、区、町、市及び地区の社会的、政治的、文化的及び経済的な側面に関して自ら決定を下し、その実施状況を監督する。又、自由な民主的生活に関する規則及び原則を定める。この議会は、社会の諸問題の検討及びその事項を決定し、これらに関する政策を決定する。又、これに基いて社会の組織及び保護の強化に努め、その存続の持続可能性及び政治、社会、文化、経済及び安全保障における必要を確保する。これらの機関は、民主連合制の原則に基いて組織される。

第78条 人民議会の構成
1 – この議会の代表者数は、人口密度に基づき決定され、法律でこれを定める。
2 – この議会は、直接投票を行う人民の票を得た代表者60%、及び組織された社会機関、民族及び宗教構成員により民主的かつ透明な方法で選出された代表者40%の比率に基づき、選出された十分な数の議員でこれを構成する。この議会は、合意民主主義及び特別法に基づき、これを組織する。
3 – 選挙期間は2年とする。
4 – 議会議員、執行機関構成員及び共同議長は、同一職務を連続2期務めた後は再選に立候補できない。
5 – 審議会は委員会を通じて活動を行い、委員会及び執行機関の活動の進捗を追跡する。
6 – 執行評議会の構成員は、人民議会に選出された議員により決定され、うち20%は必要に応じて専門家及び有識者を充てることができる。
7 – すべての議会における女性議員の比率は50%とする。
8 – 自治体の共同議長は、人民議会及び執行評議会に参加する。
9 – 女性は、コミューンから始まり、町、市、地区、北・東シリア地域地域に至るまで、女性評議会を通じてすべての人民議会に参加する。

第79条 人民議会の職務
1 – 評議会の共同議長及び共同議長局を選出すること。
2 – 構成員の総意により推薦された執行評議会の共同議長及び執行評議会の構成員を承認すること。
3 – 司法評議会の推薦に基づく司法機関の共同議長を承認し、当該機関はこの社会契約に従い、人民議会に対し説明責任を負う。
4 – 内務治安機関の推薦に基づく内務治安部隊の指導部を承認し、議会がこれを監督すること。内務治安部隊は、人民議会に報告書を定期的に提出する。
5 – 共同体保護部隊の指導部の推薦に基づく社会防衛部隊の指導部を承認し。議会はこれを監督すること。社会防衛部隊は、人民議会に報告書を定期的に提出する。
6 – 議会は、調整的かつ統合的な方法で協働すると定める。

第80条 区議会
区:区内の居住地区でこれを構成する。
1 – その構成員の数は、区の人口密度に従い決定する。
2 – 区議会は、選挙の票を得た代表者60%、及び透明かつ民主的な方法により選出されたコミュニティ組織の代表者及び構成員40%で、これを構成する。区議会の構成員である当該区に属するコミューンの共同議長及び自治体委員会の共同委員会長が参加する。
3 – 区議会は、その事務局及び区議会事務局の共同議長を選出する。
4 – 区議会は、区議会の執行評議会の共同議長を選出する。
5 – 区議会は、執行評議会及び区の内務治安局の隊員を承認する。
6 – 区議会は、社会防衛部隊の指導部の推薦に基づき区の社会防衛部隊の指導部を承認する。
7 – 区議会は、区執行評議会の活動を監督する。
8 – 区議会は、司法評議会の推薦に基づき和解委員会会の委員会を承認する。
9 – 区議会は、コミューンの職務に干渉することなく、区に影響を与える決定及びその計画の策定並びに実施の進捗を追跡する権利を有する。
10 – 区議会とコミューンは、調整的かつ統合的な方法に基づき活動する。
11 – 区議会の共同議長は市議会議員とする。
12 – 区議会は、内部規定に従い職務を組織する。

第81条 区議会の執行評議会
1 – 区議会の決定を執行する。
2 – 執行評議会に属する委員会活動を監督する。
3 – 区議会に報告書を提出する。
4 – 執行委員会及び区内のコミューンの間の調整を行う。

第82条 町:町の中心部、村及びその他の居住地区でこれを構成する。
町議会
1 – 町議会は、選挙の票を得た代表者60%、及び透明で民主的な方法により選出されたコミュニティ組織及び構成員の代表者40%でこれを構成する。又、その町に属するコミューンの共同議長及びその町の共同議長が参加する。
2 – 町議会事務局の共同議長を選出する。
3 – 町議会の執行評議会の共同議長を選出する。
4 – 町の執行評議会の議員及び内務治安部隊管理部の隊員を承認する。
5 – 社会防衛部隊の指導部の推薦に基づき町の社会防衛部隊の指導部を承認する。
6 – 町の執行評議会の活動を監督する。
7 – 司法機関の推薦に基づき和解委員会の委員会を承認する。
8 – 町に影響を及ぼす決定及びその計画策定並びに実施の進捗を追跡する権利を有する。
9 – コミューンの職務に干渉することなく、町に影響する決定を行う。
10 – 町議会及びコミューンは、調整的かつ統合的な方法に基づき活動する。
11 – 内部規定に従い職務を組織する。

第83条 町議会の執行評議会
1 – 町議会の決定を実施する。
2 – 委員会活動を監督する。
3 – 町議会に報告書を提出する。
4 – 町に属する執行委員会及びコミューンの間の調整を行う。

第84条
市:市の中心部、町、村及び市並びに隣接する居住地区でこれを構成する。
市議会
1 – 市議会は、人民の票を得た代表者60%、透明で民主的な方法で選出されたコミュニティ組織が指名した候補者40%、及び市内の街区にある町並びにコミューンの共同議長で、これを構成する。町の共同議長は市議会議員とする。
2 – 大都市では、区議会が組織され、区議会の共同議長は市議会に参加する。
3 – 町、市及び大都市は、特別法により規律される。

第85条 市議会の職務
1 – 市議会事務局及びその事務局の共同議長を選出すること。
2 – 執行評議会の共同議長を選出すること。
3 – 市の執行評議会の議員の承認及び監督を行うこと。
4 – 司法評議会の推薦に基づき法務局及び市の和解委員会の共同議長を承認すること。
5 – 市の内務治安部隊の指導部を承認し、その活動を監督すること。
6 – 社会防衛部隊の指導部の推薦に基づき市の社会防衛部隊の指導部を承認すること。
7 – 計画及び事業を策定し、市に影響する決定を下すこと。
8 – 町及びコミューンの活動に干渉することなく、市に関する決定を下すこと。
9 – 独自の内部規定に従い活動し、委員会を通じてその活動の進捗を追跡すること。
10 – 町議会、市のコミューン及び区議会と調整的及び統合的な形態で活動を行うこと。

第86条 市の執行評議会の職務
1 – 市議会により承認された決定及び事業を実施すること。
2 – 市の執行評議会の委員会活動を監督し、その進捗の追跡を行うこと。
3 – 市及び町の執行委員会の間の調整を行うこと。
4 – 大都市の執行評議会は、市及び区の委員会の間の調整を行うこと。
5 – 人民議会に対する説明責任を負い、報告書を人民議会に月ごとに提出するもの。
6 – 内務規定に従い活動体制を決定すると定める。

第87条 地区
1 – 地区は、市、町、村、及び農場で、これを構成する。
2 – 民主連合及び民主自治政府が決定し、それに従い運営する原則に基いて政治、社会、経済、生態、文化、治安、教育、女性及び青少年の観点から組織される。民主自治局は、この社会契約により定められた権限及び権利を有する。
3 – シリア北東部の規模における公共投資と並行して、各地区は、経済分野での自給自足及び統合の原則に従い自己を組織する。又、北・東シリア地域民主自治局の協力により社会の基本的ニーズを確保し、人口密度かつ必要に応じ、権能の分配を受ける。
4 – 地区は、法律の定めるところにより、北・東シリア地域民主自治局における内部及び表面の富の公正な分配に立脚する。
5 – 各地区議会は、内務治安部隊を組織し、権限を与え、その活動を監督する責任を負う。
6 – 各地区は、外部からの攻撃に対する防衛を正当化する権利を有し、北・東シリア地域民主自治局及びシリア民主共和国を防衛する責任を負う。
7 – 各地区は、北・東シリア地域民主自治局の社会契約に反しない限りにおいて、諸人民及び諸国との外交、経済、社会及び文化関係を発展し、強化する権利を有する。
8 – 各地区の民族的及び宗教的構成員は、それぞれの言語及び文化に基づき政治的、社会的及び文化的課題に対処し管理する。
9 – 各地区の上記の各権利、権限及び責任に関する規則並びに制度の基盤は、個別法によりこれを詳細に規定する。

第88条 地区の人民議会
1 – 地区の人民議会は、各地区の人民及び社会集団を代表する議会であり、立法、監督及び公共政策の策定を行う。任期は2年とし、議会及びその委員会の活動体制は、内部規定により定められる。
2 – 議会は人口密度に応じて構成され、その60%は総選挙で人民から選出された議員、40%は民族、宗教、思想及び文化の構成員の中で民主的かつ透明な方法で選出された代表者である地区の人民議会議員及び都市の人民議会並びに執行評議会の共同議長で、これを構成する。これは、選挙法により規定される。
3 – 第1回会合は、全地区の最終結果発表後16日目に、高等選挙管理委員会会の招待により開催される。メンバーの3分の2以上の出席をもって定足数とする。必要な定足数を満たさないことを理由として第1回会合が開催されない場合には、15日以内に開催の別の日程が設けられ、総数の50+1の出席をもって定足数とみなす。人民議会の第1回会合は、最年長及び最年少の男女により議長職を務め、彼らのなかから、共同議長及び事務局を選出する。その後、議会議員は宣誓を行い、内部規定により、必要な場合を除き、議会の会合の公開とする。
4 – 人民議会の会合は、例外的かつ議員の1/4の要求がある場合又は議会議長事務局の要求がある場合には、6カ月間延長することができる。当該延長は、議会議員の3分の2以上の承認を要する。
5 – 議会議員は、任期中において免責特権を享有する。議員は、表明する意見に対し説明責任を問われず、議会の許可なくして司法訴追を受けない。但し、現行犯の場合は、単に議会事務局に通告すればよい。

第89条 地区の人民議会の職務
1 – 地区の人民議会は、当該地区の社会、経済、財政、エネルギー、内務治安、教育、文化、啓蒙、女性及び青少年に関する全般的な政策の策定、事業の議論及びその決定を行うこと。
2 – 市政に介入することなく、地区に関わる決定及び法を下すこと。
3 – 議会事務局の共同議長及び事務局の副議長4名を選出し、議会活動の組織及び運営を行うこと。
4 – 議会は、委員会を基に活動し、これを通じて執行評議会の活動の進捗を追跡及び監督し、執行評議会に報告書を提出する。
5 – 議会は、3分の2の賛成により執行評議会の共同議長を選出し、執行評議会の構成を提示すること。執行評議会の議員に対する信任の付与は、評議会の投票数の50+1の比率で行われる。執行評議会の議員を決定する際には、民族的及び宗教的な構成員の公正な代表性を考慮しなければならない。又、執行評議会における女性の比率は50%とし、法律の定めるところにより、執行評議会またはその議員の1人から信任を留保する権限を有する。
6 – 人民議会は、内務治安部隊の各機関の推薦に基づき内務治安部隊の指導部を承認し、その活動を監督すること。
7 – 社会防衛隊の指導部の推薦に基づき社会防衛隊の指導部を承認すること。その指導部は、定期報告書を地区議会に提出する。
8 – 司法評議会から推薦された地区司法評議会の共同議長を承認すること。
9 – 地区の法を制定し、立法すること。
10 – 市議会の参加を得て、地区の一般予算を議論し承認すること。
11 – 地区の公共政策及び開発計画を承認すること。
12 – 犯罪事例に対し、法に基づき地区の人民議会による恩赦を付与できる場合には、地区上で又は地区の人民議会若くは地区の司法評議会の提案により恩赦法を公布すること。
13 – 内部規定に従い活動すること。

第90条 地区執行評議会
1 – 地区執行評議会は、人民議会の決定及び裁判所の決定を実施し、当該地区人民議会に定期的に活動報告を提出する。
2 – 地区執行評議会は、その執行評議会の共同議長及びその代理、委員会の共同委員会長並びに市執行評議会の共同議長で、これを構成する。
3 – 地区執行評議会は、執行委員会を基本として組織され、その委員会に応じて集団的な執行部隊を構成する。
4 – 各委員会は、その活動の必要に応じて、共同委員会長及び十分な数の委員会で、これを構成する。
5 – 執行評議会は、結成及び信任後に次の段階に向けた活動計画を記載した声明を発表し、地区の人民議会の承認を経て、その任期中にこれを実施する義務を負う。

第2章

第91条 北・東シリア地域:それはジャズィーラ、ダイル・ザウル、ラッカ、ユーフラテス、マンビジュ、アフリーン/シャフバー及びタブカの7つの地区で、これを構成する。
北・東シリア地域民主人民議会
1 – 民主人民議会は、北・東シリア地域民主自治局の下で生活を営むすべての人民を代表する。この議会は、友愛的共存における統合の象徴であり、当該地域の諸人民により確立された民主的かつ自由な連合である。
2 – 民主人民議会は、各民族の代表により構成される:クルド人、アラブ人、シリア人、アッシリア人、アルメニア人、トルクメン人、チェルケス人、チェチェン人。女性の比率は50%とする。又、左のイデオロギー的及び文化的集団の代表とする:イスラム教徒、キリスト教徒、ヤズィーディー教徒、その他北・東シリア地域民主自治局の管轄下にある人々。
3 – 民主人民議会は、意思決定及び活動において、すべての人民及び集団の歴史的、人口的、地理的、宗教的、思想的、民族的及び文化的構造並びに特性を考慮する。
4 – 民主人民議会は、人民および集団が民主的な自治行政を確立する権利を保障する。その特性、思想的、民族的及び文化的自由は、この社会契約に基づく法律によりこれを保障する。
5 – 社会を組織するため、民主連合制を採用する。これにより、環境及び経済の調和のなかで生活を営む。
6 – 民主人民議会は、民主自治局の地区、集団及び地方単位の組織を民主連合制の柱とする。民主人民議会は、民主自治局の下で、各集団が自らの意思に基づき団結するよう努める。

第92条 民主人民議会の構造
1 – 民主人民議会は、立法及び北・東シリア地域民主自治局の下に生活する人民及び諸集団の立法並びに一般代表を行う。
2 – 選挙期間は2年とする。
3 – 各地区における民主人民議会の議員数は、法律の定めるところにより、人口密度に従い決定される。
4 – 民主人民議会議員は、左の事項に従い選出される:全人民の参加する総選挙において決定される人民代表者60%、選挙法に従い、人口密度に立脚した民族的、宗教的、イデオロギー的及び文化的構成員並びに社会階層から、民主的かつ透明な方法により選出される代表40%。地区議会の地区執行評議会及び北・東シリア地域自治体連合の各共同議長は、民主人民議会議員とする。
5 – 民主人民議会の事務局は、共同議長及び4人の副議長でこれを構成する。副議長の氏名は、民主人民議会に出席する社会集団及び階層の代表者の合意に基づき議会に推薦される。共同議長は、全議会議員の3分の2の賛成により選出される。議長事務局の議員は、民主人民議会の会合出席議員の50+1の投票により選出される。
6 – 民主人民議会は委員会を通じて活動を行う。委員会は、最終決定を行い、民主人民議会の会議に事業を提案する。同議会は、必要に応じて委員会を組織することができる。
7 – 民主人民議会は、内部規定に従い活動する。

第93条 民主人民議会の職務
1 – 民主人民議会は、執行評議会の共同議長を3分の2の多数により選出し、信任の付与後1ヶ月以内に執行評議会の構成を提示すること。又、執行評議会若しくはその構成員の一人から信任を保留する権利を有する。執行評議会の共同議長及び議員は、民主人民議会の選出議員から決定される。不承認の場合、新たな氏名を執行評議会の共同議長により推薦し、執行評議会議員から80%、専門家から20%それぞれ選出される。又、執行評議会の共同議長の選出にあたり、代表性が公平となるよう、民族及び宗教の集団並びに地区の間の合意を得なければならない。女性の代表性は男性と同等とする。
2 – 民主人民議会は、定期的に、また必要に応じて開催する。議会は、地域規模の公共政策を策定し、地区の管轄外の戦略目標を定める。あらゆる分野において提案された事業を審議し、計画を立案すること。
3 – 民主人民議会は、各地区議会及び北・東シリア地域女性評議会の参加を得て、北・東シリア地域民主自治局の範囲内での平和及び戦争状態を承認すること。
4 – 民主人民議会は、地区の情勢に干渉することなく、北・東シリア地域地域に関する法を制定し、立法を行うこと。
5 – 民主人民議会は、委員会を通じて執行機関の職務進捗を追跡すること。委員会は議会に報告書を提出する。
6 – 民主人民議会は、北・東シリア地域社会正義評議会の共同議長を承認すること。その氏名は、北・東シリア地域司法評議会からの推薦に基づくものとする。
7 – 民主人民議会は、内務治安部隊の総司令部を承認すること。その氏名は内務治安部隊により推薦され、議会はその活動を監督する。
8 – 民主人民議会は、司法評議会及び北・東シリア地域民主人民議会の合意に基づき、司法評議会及び地区の人民議会により推薦される高等選挙管理機関の人員を承認すること。民主人民議会議員の3分の2の票を得た上で、定足数に満たない場合は、別の会合に延期され、投票は50+1の比率で行われる。
9 – 民主人民議会は、シリア民主軍総司令部の任命及び昇進を承認し、その活動を監督すること。
10 – 民主人民議会は、北・東シリア地域民主自治局の名義において、人民、国家及び諸機関の間で又は地区の人民議会との調整により締結された諸契約及び諸協定を審査し、それを決定及び承認すること。
11 – 民主人民議会の会期は、例外的な場合に限り、議会議員の4分の1又は議会事務局による要請がありかつ議会議員の3分の2の承認に基づき、6ヶ月間延長するものができる。
12 – 民主人民議会は、北・東シリア地域民主自治局への郡又は地区の編入を、当該郡がこの社会契約を受諾した後、議会議員の3分の2の投票及び地区議会の参加を得て承認することができる。定足数を満たない場合、会合は延期され、50+1の比率で可決される。
13 – 民主人民議会は、北・東シリア地域民主自治局の一般予算を、地区議会の参加を得て審議し承認すること。
14 – 民主人民議会は、民主人民議会または司法評議会の提案に基き、必要に応じて北・東シリア地域民主自治局における一般恩赦を承認し付与すること。

第94条 人民議会事務局の職務
1 – 北・東シリア地域民主人民議会を代表すること。又、すべての議会活動の手配及び調整を行い、それを実施し監督する責任を負う。
2 – 人民議会事務局は、委員会を運営し、それを監視し監督すること。

第95条 北・東シリア地域民主自治局執行評議会
1 – 地区の執行評議会の共同議長は、北・東シリア地域自治局執行評議会議員とする。彼らは、民主自治局執行評議会の会議に出席し、議論及び意思決定に参加する権限を有する。
2 – 地区執行評議会の共同議長は、共同議長職及び自治局執行評議会の所属機関に立候補する権限を持たない。
3 – 共同議長は、執行評議会を代表し、その活動を指揮する。

第96条 民主自治局執行評議会の職務
1 – 北・東シリア地域民主自治局民主人民議会により立案し決定した政策を、執行機関を通じて決定し、それを実施すること。
2 – 北・東シリア地域民主自治局の名義において外交活動を行うこと。
3 – 政治、経済、社会及び文化の各分野における地区間の調整及び統合を確立すること。
4 – 北・東シリア地域執行評議会の権限は、この社会契約の範囲内において地区との合意の下、民主連合制の原則に従い、法律によりこれを定める。
5 – 北・東シリア地域民主自治局民主人民議会に対し、当該評議会の報告書を提出すること。
6 – 北・東シリア地域民主自治局執行評議会は、その機関を通じて、これを組織すること。
7 – 各機関は、当該機関の共同議長、その評議会の共同議長及び十分な人数の構成員で、これを構成する。

第97条 機構及び委員会の執行評議会
われらの社会制度は、民主連合制の原則に立脚する。各機関は、この原則に基き、町、市、地区及び北・東シリア地域における評議会においてこれを組織する。これにより、各機構は、民主主義体制を強化する重要な役割を果たすものとみなす。各機関は、評議会の仕組みに従い、これを運営する。これらの評議会は、その分野に該当する委員会及び機関の活動に関する課題を議論する。評議会は、人々がその範囲内で活動できるようにするため、関するアカデミーを設立する。これらの評議会には、各機関及び委員会に関する機関並びに組合連合の代表が含まれる。評議会は、その共同議長を選出し、必要に応じて評議会に関する委員会を組織する。これらの評議会の共同議長は、町、市及び地区の議会並びに民主人民議会の議員とする。人民議会は、各機関や委員会に影響を与える決定を審議する場合には、それに関する評議会と調整し職務を遂行しなければならない。決議案は、これらの評議会の同意に基づき提出する。内部の機関や委員会に関する事項については、その評議会が決定する。社会生活における統合性を確保するため、すべての機関及び委員会の評議会間において共生関係が保持されなければならない。

第98条 教育評議会
評議会は、教育に関する財団及び機関の代表者、大学評議会、教育委員会、カリキュラム財団、言語財団、教職員連合、教行機構、研究・学習センター、遺伝学委員会、コミューン及び人民議会並びに学生連合の代表者で構成する。評議会は、教育戦略を策定する。評議会は、民主自治局内の公用語その他言語の教育を行う。 同評議会は、人民の意を尊重する。評議会は、保育段階から大学段階にわたり、民主的なウンマの精神を育成する。評議会は、社会のあらゆる層を対象に、教育事業及び教育、文化並びに科学カリキュラムを開発する。評議会は、その活動に特化した機関を発展させ、教職員の資格のためのアカデミーを開設する。

第99条 文化啓発評議会
この評議会は、芸術文化アカデミーの代表者、情報委員会、民主社会アカデミー委員会、文化センター及び協会の代表者、知識人及び芸術家の組合並びにこれらに関する大学の代表者で構成する。評議会は、自律的に自己を規律する。評議会は、参加型生活及び民主主義の価値を確立させるとともに、芸術を取引し、メディアを通じて共同の価値及び人民の文化遺産を劣化させる現代資本主義の概念に抗し、アカデミー及び文化センターを通じて知的、啓発的、芸術的及び訓練的活動を実施する。この評議会は、専門的な学術スタッフの養成を行う。

第100条 殉教者・戦傷者・捕虜家族協議会
殉教者の家族、戦傷者及び捕虜の家族は、革命の基本的価値の1つである。評議会は、殉教者の家族、戦傷者及び捕虜の家族を組織し、彼らの物的及び精神的なニーズを充足させる。評議会は、彼らがあらゆる分野において実効的な役割を果たせるよう活動する。戦傷者のリハビリテーション及び職業的エンパワーメントを目的とし、アカデミー及び専門センターを整備し、戦傷者の雇用機会を確保するとともに、就労が困難な者に対しては尊厳ある生活の保障に努める。

第101条 環境評議会
環境評議会は、関する組織、財団、協会及び自治体の代表者、並びに健康評議会及び経済評議会の代表者で、これを構成する。評議会は、環境意識を高め、環境と調和する生活の価値観を確立し、生活のあらゆる局面において環境生態文化の概念を発展させるために、すべての機関及び委員会の評議会と協力し、協調して活動する。又、環境産業の発展に努め、環境を損なうあらゆる産業及び建設活動に反対する。評議会は、北・東シリア地域及び地区並びに国際的規模において、エコロジー運動と連携した活動を実施する。

第102条 社会問題労働者評議会
この評議会は、労働者、農民、勤労者、職人、特別な支援を必要とする者、及び避難民・強制移住者・難民の問題に関する組織並びに機関で、これを構成する。労働者の社会生活における実効的な参加を保障し、労働者の雇用機会を確保するために、民主社会制度の確立に貢献する各連合、協同組合、職業訓練校を整備する。勤労者は、民主的な社会を築き、民主的な政治を強化するために貢献する基本的な集団とする。この評議会は、労働者の社会的及び文化的側面を発展させるプロジェクトを展開し、女性の努力に価値を付与する経済システムの構築に努める。又、特別な支援を必要とする者を組織し、彼らを心理的及び職業的にエンパワーメントするためのアカデミー及び特別センターを開設し、ニーズを満たすことができない者に対しては経済的支援を提供する。

第103条 人権評議会
弁護士会は、人権機関、弁護士連合、人権及び女性の権利に関心のある組織及び司法評議会の代表並びに関する大学学部でこれを構成する。弁護士会は、民主自治局の権利に対する民主的倫理及び原則に基き、法及び規則を定める。制定された法が社会契約と適合するよう、弁護士会は、民主人民議会の各委員会と調整を行う。弁護士会は、北・東シリア地域及び占領地における人権侵害並びに戦争犯罪を監視し、記録するとともに、その進行を追跡する。弁護士会は、人権に関する機関及び人権協会と協働する。弁護士会は、民主自治局の法的正当性を達成することを目的として活動を行う。

第104条 医療保健評議会
この評議会は、保健に関する機関及び協会の代表者、医師薬剤師組合連合、歯科医師、医療従事者組合連合及び環境経済評議会の代表者、関係大学及び機関の代表者で、これを構成する。評議会は、社会の保健問題に対応する事業及び戦略的計画を策定する。評議会は、当該分野で活動する組織の発展及び支援を図り、組織間の調整役を果たす。評議会は、健康がエコロジカルな生活に基づき、自由な社会を築くとの原則に従い活動する。又、サービス及び医療健康保険の分野の発展を図り、評議会は、医療スタッフの社会的及び科学的意識を高めるアカデミーを発展させるとともに、すべての人に無償で医療保健サービスを提供することを目指す。医療保健分野における一切の搾取及び売買に反対する。

第105条 経済農業評議会
この評議会は、経済機関、農民組合連合及び協会、畜産業者、商工会議所、職人組合連合、研究所及び技師・獣医・農業技術者専門学校の代表で、これを構成する。評議会は、主に環境経済、参加型経済、社会経済に基き、民主連合社会の経済体制の発展及び実現を図る。評議会は、あらゆる種類の独占に反対し、エネルギー、土地及び水の共有の原則及びその概念の発展に努める。又、経済人材を育成するアカデミーを設立する。評議会は、参加型経済を実現する協同組合を設立し、輸入及び投資財源の確保の分野で事業を展開する。金融機関及び委員会と調整し、社会経済への資金投入の道を開くことに努める。

第106条 外交評議会
評議会は、北・東シリア地域民主自治局内の外交分野で活動する機関及び政治学部の代表で、これを構成する。評議会は、関係を発展するため、人民の利益及び平和的解決に基づく外交関係の活動を組織し、実施するとともに、民主国家の原則に従い活動戦略を策定する。評議会は、シリア、地域及び世界において民主主義体制を実現することを目的に活動を行う。評議会は、外交官を育成するため、知的及び専門的なアカデミーを設立する。

第107条 宗教信仰評議会
この評議会は、北・東シリア地域の宗教機関及び宗教学部の代表で、これを構成する。評議会は、すべての宗教団体及び信仰が、その礼拝及び儀式を社会生活のなかにおいて自由に、その特性に従って実施することを促進する。評議会は、民主的ウンマの精神に適合する宗教機関を発展させる。評議会は、宗教、宗派及び信仰を区別する非民主主義的な国民国家の不寛容かつ過激な概念に反対し、自由の倫理及び宗教並びに信仰の間における寛容な概念の発展に努める。

第108条 青年協議会
この協議会は、北・東シリア地域における革命の前衛部隊である。協議会は、民主連合制の構築のために主導的役割を果たす者であり、この原則に従い組織される。協議会は、自由かつ民主的な青年組織を包含し、自律的に組織される。協議会は、コミューン、評議会、協会、アカデミー及び協同組合の形態で組織することができる。協議会は、北・東シリア地域のすべての青年を代表し、青年に関する決定を下す。協議会は、知的、文化的、経済的、政治的及び外交的な分野において、村、町、市及び地区内で、これを組織する。協議会は、青年に関する政策及び戦略的事業を立案する。協議会は、芸術及びスポーツの民主的で社会主義的な概念を発展させ、産業的かつ独占的な芸術及びスポーツを通じて現代資本主義が若者に対して及ぼすあらゆる非倫理的な行為に反対する。協議会は、青年のための社会防衛部隊の組織化において主導的役割を果たすものとする。特に若い女性たちは、自らを組織し、民主連合制の発展において前衛的な役割を果たしている。評議会は、独自の内部規定に従い活動を組織する。

第3章

第109条 北・東シリア地域民主自治体制度
1 – 自治体は、北・東シリア地域民主自治体連合に従い、組織される。
2 – 自治体議会及びその共同議長は、2年に1度、住民により選出される。
3 – 自治体は、各人民議会及びその議会の執行評議会において、自らを代表する。
4 – 自治体は、その活動において直接民主制を採用する。
5 – 自治体は、北・東シリア地域民主自治体連合評議会により任命される調整役を通じて、自治体間の調整を行う。

第4章

第110条 北・東シリア地域女性評議会は、北・東シリア地域において、コミューン、近隣、町、都市及び地区から組織される。 左の事項を基本とする:
1 – 北・東シリア地域の女性を代表する協議会であり、人民民主議会にて女性を代表する。
2 – 女性に関する政策や戦略的計画を策定する。
3 – 北・東シリア地域の女性のための連合制の構築に努める。
4 – 女性革命の成果を守り、それを保護し発展させる。
5 – 女性に関する決定を行う。
6 – 女性及び家族に関する法を整備し、民主人民議会にこれを提出し、発行する。
7 – 女性を教育し、組織し、民主的な家庭を築き、あらゆる分野で女性の権利が守られるよう努める。
8 – 北・東シリア地域民主自治局における民主主義原則の確立に努める。
9 – 女性のための社会契約の策定に努める。
10 – 評議会は、2年に1度、北・東シリア地域の女性の投票により選出される。
11 – 北・東シリア地域女性評議会の執行評議会が選出される。
12 – 民主自治局における女性の問題を組織するために活動する女性調整部は、北・東シリア地域女性評議会に参加する。
13 – 女性評議会は、その内部規定に従い、活動を組織する。

第5章

第111条 保護及び自衛
自衛は、生命の保障及び継続であり、生存を守る権利及び義務に基づく。正当な自衛の意識及び北・東シリア地域において制度化された民主主義社会に基づく自衛体制の確立を必要とする:
A – 社会防衛部隊
1 – 社会防衛部隊は、北・東シリア地域を保護し、あらゆる攻撃や占領から市民の生命及び財産の保護を確保する責任を負う部隊とする。
2 – 社会防衛部隊は、すべての市民の参加により組織される。自衛は、すべての市民の権利であり、義務である。民族組織や宗教組織などの諸集団においても、これは義務であり、区、村、市及びすべての住居地区における自衛体制に実効的に参加する。
3 – 社会防衛部隊の組織は、共同総司令部の下に統括され、この総司令部は民主人民議会及びシリア民主軍に対し説明責任を負い、社会防衛部隊の地方組織は、地方人民議会に対し説明責任を負う。
B – シリア民主軍
1 – シリア民主軍は、北・東シリア地域民主自治局における正当な防衛軍とする。
2 – 軍は、人民の子女の自発的な参加及び自衛の義務を採用する。
3 – 軍の活動は、民主人民議会及び防衛委員会会により監督される。
4 – 軍は、北・東シリア地域民主連合制の下、一部独立的に組織する。
5 – 軍は、北・東シリア地域民主自治局及びすべてのシリア領土を防衛し、外部からの潜在的な攻撃及び脅威からこれを防衛する職務を負う。
6 – 軍は、民主人民議会に対し責任を負い、当該議会はその総司令部を承認する。
C – 女性防衛部隊
1 – 自衛は、女性の権利であり、義務である。女性は、その編成の中で自らを組織する権利を有する。
2 – 女性防衛部隊は、女性及び社会のための正当な防衛部隊であり、シリア民主軍下に自律的に組織する。
D – 国民諜報機関機関は、北・東シリア地域における国家安全保障に対する脅威を抑止し、この情報を収集する。機関は、北・東シリア地域執行評議会の共同議長又はその代理に所属する機関として活動する。
E – 内務治安部隊
1 – 部隊は、北・東シリア地域民主自治局域内の治安及び安定を維持する部隊とする。
2 – 部隊は、北・東シリア地域の人々の子女の自発的な参加により編成する。
3 – 部隊の活動は、人民議会により監督され、行政上及び組織上、内務委員会に属する。
4 – 女性は、範囲内で自律的に組織する。

第6章

第112条 北・東シリア地域民主自治局の金融システム
A – 一般会計予算:この予算は、北・東シリア地域民主自治局が徴収する歳入の見積もり及び次年度の会計に支出する必要のある歳出に基づき、当該期間内の業務の枠組みを明確化する一定期間の財政計画をいう。これは、左に掲げるものをいう:
1 – 各地区議会は、町及び市の議会並びに地区の執行評議会と連携し、地区人民議会の承認を得ることを目的として地区予算を作成する。
2 – 北・東シリア地域民主人民議会は、地区議会、北・東シリア地域執行評議会、司法評議会及び女性評議会と連携し、一般会計予算を作成した後、民主人民議会の承認を得る。
3 – 予算作成にあたっては、各地区の人口密度及び面積、各地区のニーズ及び特殊な状況並びに海外から提供される補助金の規模を考慮しなければならない。
4 – 北・東シリア地域司法評議会の一般会計予算は、市及び地区の司法評議会の参加を得て決定され、一般予算に含め、民主人民議会の承認を受ける。
B – 中央現金支払事務局: この事務局は、北・東シリア地域民主人民議会が地区議会の参加を得て設立する独立専門機関とする。 事務局は、民主人民議会に対し責任を負い、いかなる政治機関にも属さない。 事務局は、金融決済のための効果的かつ安全な体制を採用し、流動性、金融支払能力及び安定した銀行制度の機能の有効性を確保する。 事務局は、社会経済の維持及び促進に寄与する金融制度を発展させる。事務局の共同議長は、北・東シリア地域執行評議会の推薦に基づき、民主人民議会議員の3分の2の投票により承認される。 定足数に満たない場合は、法律の定めるところにより、50+1の投票により採決される。

第7章

第113条 金融監督会計総合機構
1 – この機構は、民主人民議会により設立される。構成員の半数は社会司法評議会により、残る半数は民主人民議会及び地区議会の共同推薦により指名され、民主人民議会議員の3分の2以上の賛成により承認される。定足数に満たない場合には、50+1による投票で採決される。
2 – 機構は、活動を妨害し、構成員の職務遂行に悪影響を及ぼす一切の圧力を受けてはならない。
3 – 機構は、北・東シリア地域民主人民議会に代わり、金融の監査及び監視を行い、これらの報告書を当該議会に提出する。
金融監督会計総局の任務
1 – 北・東シリア地域民主自治局の議会及び機関の活動について、社会生活及び社会経済に照らし、合法的に適正かつ透明な方法による予算支出及び使用範囲の再確認を行うこと。
2 – 税制及び公的資金の運用状況を追跡すること。
3 – 輸出入が質的かつ適正な方法に基づき、いかに実施されているのかの進捗を追跡すること。
4 – 社会契約及び準拠法に抵触する通貨交換の進捗を追跡すること。

第8章

第114条 司法制度
この制度は、社会の道徳的及び政治的原則を基礎とする社会正義の制度であり、民主的かつ環境的なアプローチ及びビジョンを採用し、女性の自由及び生命を基本とする社会の構築を目指すものとする。社会は、この制度の出発点であり、この制度は、社会契約の基本に従い社会生活のなかで個人の権利を保障し、正義及び人権の普遍的原則に基づくものである。制度は、民間機関を通じて正義に関する問題を解決し、正義は、人民の参加及び民主的に構成された地方単位の組織を通じて実現される。

第115条 司法の諸原則
1 – 社会司法制度は、社会組織に従い整備され、道徳的及び社会的正義の原則に従い、コミューン、村、区、町、市、地区及び地域における社会問題を解決する。又、和解と調和を問題解決の基本とする。
2 – 個人、社会生活及び環境を害する行為は、犯罪とみなされる。犯罪が発生した場合には、被害者は法律に基づいて自己の権利を主張する機会が与えられ、社会は当該問題を評価し、批判するとともに、提案に関与し、意思決定の場に参加する機会を得る。
3 – その処罰は、犯罪者を教育し、社会生活に適切に復帰できるように更生させる。
4 – 人民、集団及び社会階層は、社会契約に反しない限り、和解委員会を通じて関係する問題を解決する権利を有する。
5 – すべての人民及び集団の公益並びに公共の安全に関する問題は、社会全体を代表する司法機関において解決される。
6 – 司法制度は、男女の平等かつ公正な代表に立脚する。
7 – 女性には、女性に関する決定を裁く特別の司法評議会が存在する。

第116条 司法制度機関の組織運営とその基本原則
この制度は、和解委員会、女性の家(マラ・ジン)、司法事務局、司法評議会及び社会司法女性評議会で、これを整備する。これらは、社会正義の実現及び奉仕に努める機関であり、これらの構成員は、村、町、市及び地区の人民議会により承認された氏名を推薦する司法評議会の承認を経て任命される。
1 – 和解委員会
この委員会は、社会正義及び平和制度の基本的な柱を構築する。委員会は、係争及び紛争の解決、平和及び社会調和の達成を目的として活動する。委員会は、コミューンから地区まで、直接選挙または合意により、必要に応じてあらゆる場所及び規模で、これを組織する。その委員会は社会的に認められたボランティアとする。
2 – 司法局
司法機構(検察、司法機関、上訴機関、執行機関)は、社会及び個人に対する不公平を是正し、正義を実現することを目的として地区その他必要なあらゆる場所に設置される。司法局の構成員は、地区の司法評議会の推薦に基き、地区の人民議会の承認を受けて選出される。又、必要に応じて市にも設置される。
3 – 地区司法評議会
この評議会は、地区における司法機関を組織し監督する。地区司法評議会の共同議長及び議員は、地区内の司法機関により選出される。共同議長は、地区人民議会により承認される。評議会は、人民、集団及び社会階層の公正かつ民主的な代表性を有することが求められ、これは法に明記されている。
4 – 北・東シリア地域社会正義評議会
この評議会は、司法制度の実施を監督し監視する責任を負う。評議会は、民主人民議会に報告書及び法案を提出する。評議会は、地区の司法評議会間の相互調整を確保する。評議会議員は、地区の司法評議会により選出される代表で、これを構成する。

第117条
女性社会司法評議会
評議会は、女性の家(マラ・ジン)の女性代表、和解委員会の代表、司法局及び女性社会司法評議会議員で、これを構成する。評議会は、女性司法評議会を組織し監督する責任を負い、社会正義の確立及び推進において主導的役割を果たす。
1 – 女性の家(マラ・ジン)
女性の家は、関係する女性機関と協調し、社会正義の意識を広め、和解を基本とし、生活のあらゆる側面において女性及び家族に関わる問題の解決に努め、女性の権利に対するあらゆる非人道的行為と闘う社会機関とする。
2 – 市及び地区の女性社会司法評議会
この評議会は、市及び地区の女性司法機関における女性の活動を監督する。評議会は、女性に関する問題の進捗を追跡し、司法機関において女性を組織し、女性の権利を保障することを目的として活動する。評議会は、民主的な選挙を通じて司法に関わる女性機関の代表で構成され、地区規模の女性評議会において自己を代表する。
3 – 北・東シリア地域女性社会司法評議会
この評議会は、地区の女性評議会の代表及び北・東シリア地域地域女性社会司法評議会の議員で、これを構成する。評議会は、女性社会司法評議会間及び女性社会司法評議会並びに司法総評議会の間を、それぞれ調整する役割を果たす。又、女性団体とも協調する。評議会は、北・東シリア地域一般司法評議会、その調整部及び北・東シリア地域女性評議会において自己を代表する。

第9章

第118条 高等選挙管理委員会
1 – 高等選挙管理委員会は、民主人民議会により設置され、当該議会に対し説明責任を負う独立機関とする。委員会は、法律の定めるところにより、十分な人数の専門委員会で、これを構成し、民主的な方法により、人民投票、その地域の民主人民議会議員選挙、地区の人民議会及びすべての法定選挙を計画し、組織してこれを実施する責任を負う。
2 – 北・東シリア地域社会司法評議会の推薦により3分の1の委員が選出され、残りの3分の2の委員は、民主人民議会の提案に基き、地区議会の参加を得て、各社会構成員及び階層の公正な代表性を考慮して選出される。委員会は、その地域の民主人民議会議員の3分の2以上の同意により承認され、定足数に満たない場合には、50+1の票により承認される。承認が得られない場合については、各機関が自ら新たな氏名を推薦し、改めて承認を求める。
3 – 高等選挙管理委員会は、選挙に対する訴訟及び異議申し立ての事例について決定を下す権限を有し、その決定は訴訟の対象とならない。
4 – 委員会は、自治局の政党及び公的市民機関の会議に傍聴人として委員を派遣することができる。

第10章

第119条 社会契約保護裁判所
社会契約保護裁判所は、北・東シリア地域の社会司法評議会及び人民議会が等しく推薦する多数の裁判官、法律専門家及び人権関係者で、これを構成する。社会契約保護裁判所の裁判員を推薦する際、両議会はすべての民族及び宗教の代表、地区の代表並びに女性の代表を考慮しなければならない。社会契約保護裁判所の判決を覆すことはできない。裁判官の人数、選出方法の仕組み及び裁判所の活動は、民主人民議会議員の3分の2以上の多数決に基づく法律により規定される。推薦された氏名は、民主人民議会議員の3分の2の比率に基づき承認される。
社会契約保護裁判所の職務
1 – 社会契約の条文を解釈すること。
2 – 人民議会、執行評議会及び地区議会により発行される法並びに決定が、社会契約に抵触しないか、異議がある場合においては、これを検討すること。
3 – 民主人民議会、執行評議会、地区議会及び司法評議会の間における社会契約の適用に関する紛争を解決すること。
4 – 北・東シリア地域民主自治局執行評議会間、地区議会間、地区執行評議会間、民主人民議会その他各評議会間における紛争を解決すること。
5 – 個人及び機関は、社会契約に抵触すると考えられる決定又は法に対し異議を申し立てる権利を有する。異議申し立てを審査する裁判所が、異議申し立てが重大かつ不服申し立ての判断を要すると認められる場合には、当該事件の審議は中止され、異議申し立ては社会契約保護裁判所に附託される。
6 – 個人、組織された団体、政党及び機関は、法律の定めるところにより、社会契約保護裁判所に不服を申し立てる権利を有する。
7 – 社会契約の原則に従い、選挙及び住民投票の結果を承認すること。

第4部:総則

第120条 シリア民主共和国において、北・東シリア地域民主自治局と中央その他地域の間における関係の形態は、合意された民主的な憲法に従い、あらゆる規模において決定される。

第121条 すべて選挙により選出された行政は、それを選出した当局による監督に服する。

第122条 投票機関は、法律の定めるところにより、必要と認められる場合において、代表者に対する信任を撤回する権利を有する。

第123条 住民投票制度は、法律の定めるところにより、区、町、市、地区及び民主自治局において、社会の公共の利益に関するすべての重要な問題について、これを採用する。

第124条 地方構成員は、自己の利益に抵触し、自己の意思及び決定に一致しない公的機関の決定に対し、異議を申し立てる権利を有する。 当該異議が合意で解決されない場合には、関係構成員に提示され、その結果が承認される。

第125条 自己に影響を及ぼす決定を認めがたいとする場合には、町、市及び地区は、住民投票を開催するものができ、当該住民投票の結果は、原則として承認される。

第126条 地区又は地方構成員の決定が、公共の利益に抵触し、又は社会契約に反する場合においては、社会契約保護裁判所が当該事項に関して決定権を有する。

第127条 法律の定めるところにより、環境社会経済に対し有害でないこと、及び独占的性質を有さないことを条件として、民間投資はこれを認める。

第128条 民主自治局のすべての機関及び議会においては、有権者及び候補者の年齢は18歳以上でなければならず、立候補及び選挙に関する条件は、特別法に基き、これを定める。

第129条 民主自治局は、占領地の解放後、人口動態の変化の痕跡一切を除去し、元の状態へと回復させることを誓う。

第130条 人民議会は、例外的な状況に応じて、非常事態を宣言するものができる。

第131条 執行評議会の権限は、法律の定めるところにより、コミューン、町、市及び地区の人民の意思を排除しないよう、民主連合制の原則に従い、詳細に定められる。

第132条 契約の基本原則を改正するため、地区の人民議会及び北・東シリア地域民主人民議会の承認並びに北・東シリア地域民主人民議会議員の4分の3の承認を必要とする。又、社会契約のその他の条項も、地区議会の承認及び北・東シリア地域民主人民議会議員の3分の2の承認により、改正することができる。

第133条 この契約は、シリアにおいて民主的な憲法が合意された場合には、これを改正する。

第134条 この契約は、北・東シリア地域民主自治局総評議会による承認日(2023年12月12日(火))より、これを施行する。

 

参考文献

  • 青山弘之 2019.「シリアにおける分権制・連邦制の行方:アサド政権vs.クルド民族主義組織PYD」『国際情勢紀要』第89号、pp. 115-138(CMEPS-J Report, No. 29に再録).
  • Allsopp, Harriet and Wladimir van Wilgenburg. 2019. The Kurds of Norther Syria: Governance, Diversity and Conflicts. Volume. 2, Governing Diversity: The Kurds in a New Middle East. I. B. TAURIS, London.
  • ANF News(https://anfenglishmobile.com)