「中東世論調査(トルコのシリア難民2019)」単純集計報告書

CMEPS-J Report No. 51 (January 21, 2020)

今井 宏平(日本貿易振興機構アジア経済研究所)
髙岡 豊(中東調査会)
浜中 新吾(龍谷大学)
末近 浩太(立命館大学)
錦田 愛子(慶應義塾大学)
山尾 大(九州大学)
溝渕 正季(名古屋商科大学)
青山 弘之(東京外国語大学)

I. 調査目的

「中東世論調査(トルコのシリア避難民2019)」は、シリア内戦によってトルコに難民として逃れたシリア人を対象とした世論調査の実施および調査結果の集計・計量分析を通じて、①難民支援に対する彼らの意識、②日本をはじめとする諸外国による支援への彼らの評価を把握し、シリアおよびトルコを含む難民受け入れ国の政治、社会経済、文化への貢献のありようを提言することを主な目的とする。

II. 協力機関および協力研究プロジェクト

調査実施にあたっては、質問票の内容の最終調整、サンプリング、面接対象者への聴取、データ入力などにおいて、インファクト研究コンサルティング外国貿易社(Infakto Research Workshop、İnfakto Araştırma Danışmanlık Dış Tic.Ltd. Şti、略称Infakto、ギュチュル・アトゥルガン所長)の全面協力を得た。Infaktoとの連絡調整は、「東アラブ地域の非公的政治主体による国家機能の補完・簒奪に関する研究」(2018年〜2022年度科学研究費補助金(基盤研究(A) 18H03622))の研究分担者である今井宏平(日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員)が一括して行った。

III. 調査方法

1. 調査日程

  •  2019年4月23日~7月29日 「東アラブ地域の非公的政治主体による国家機能の補完・簒奪に関する研究」の構成メンバーが質問票原案を作成。
  •  2019年8月7日 「東アラブ地域の非公的政治主体による国家機能の補完・簒奪に関する研究」とInfaktoが「中東世論調査(トルコのシリア難民2019)」の実施を正式合意。
  •  2019年8月7日~2019年10月28日 Infaktoが実査に向けた準備・調整、質問票最終版の作成などを実施。
  • 2019年11月6日~11月28日 Infaktoがアダナ県、イスタンブール県、ガズィアンテップ県、キリス県、シャンルウルファ県、ハタイ県、メルスィン県にて調査を実施。
  • 2019年12月6日 Infaktoが調査データの入力を完了。

2. 調査対象者

トルコ共和国に在住する18歳から70歳までのシリア難民男女1,217人のデータを集計。データ入力時に確認された71歳以上の回答者が4人の回答も含めて集計を行った。

3. 調査手法

アラビア語による個別訪問面接聴取法。

4. 標本抽出方法

UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の統計によると、トルコには2020年1月9日現在で3,576,659人のシリア難民がいる。調査では、難民の約70%が居住する7県22区を選定し、各県・区に居住するシリア難民の数を考慮してサンプル数を割り当てた。調査対象県・区とサンプル数は以下の地図および表の通り。

また、調査対象者は、①地元当局と調整のもとに街区を選定し、各街区でのサンプル数を12としたうえで、②各街区からキッシュ・テーブルを用いて3つの通りを選定、③通りごとに無作為に4人を選びインタビューを実施した。

調査対象県・区およびサンプル数(D.03)

調査対象県(地図)

(出所)青山弘之作成。

IV. 集計結果

D.01. あなたの生年月日を教えてくれますか。

D.02. 性別

A.01. 以下の項目を優先されるべきだと思う順に並べて下さい。

1番目

2番目

3番目

4番目

ポイント(1番目を4点、2番目を3点、3番目を2点、4番目を1点として換算)

A.02. 教育分野でもっとも重要だと思う課題を三つ選んでください。

A.03. 建設・再建分野でもっとも重要だと思う課題を三つ選んでください。

A.04. 産業振興においてもっとも重要だと思う部門を三つ選んでください。

A.05. 保健医療でもっとも重要だと思う課題を三つ選んでください。

A.06. あなた自身の生活状況を改善するうえでもっとも重要だと思う課題を三つ選んでください。

A.07. あなたはこれまでトルコ国内で以下のNGO・機関からどの程度の支援を受けてきましたか。

トルコのNGO

シリアのNGO

それ以外の国のNGO

国際NGO

国連機関

トルコ政府(関連機関)

シリア政府(関連機関)

それ以外の国の政府(関連機関)

シリアの地方自治体

トルコの宗教団体

シリアの宗教団体

個人

その他

平均値(「非常に多く受けてきた」を5点、「多く受けてきた」を4点、「普通」を3点、「あまり受けていない」を2点、「まったく受けていない」を1点、「分からない/無回答」を欠損値として算出)

A.08. シリアの市民社会が取り組むべき優先事項だと思う課題を三つ選んでください。

A.08a あなたが自発的に関わりたい課題を前の質問の選択肢から三つ選んでください。

A.09. あなたは以下の国や機関にシリア難民帰還に向けた支援にどの程度貢献してもらいたいですか。

米国

ロシア

英国

フランス

中国

ドイツ

サウジアラビア

トルコ

イラン

日本

レバノン

ヨルダン

カタール

スウェーデン

北朝鮮

シリア

その他

平均値(「非常に貢献してもらいたい」を5点、「貢献してもらいたい」を4点、「普通」を3点、「あまり貢献してもらいたくない」を2点、「まったく貢献してもらいたくない」を1点、「分からない/無回答」を欠損値として算出)

A.10. 現在と比べた3年後のあなたの経済社会状況をどの程度楽観的ないしは悲観的に見ていますか。

A.11. 現住所への転居(避難)直後と比べて、あなたは最近の生活に個人的にどの程度満足していますか。

A.12. あなたが現在の居住場所から転居する際、以下の選択肢はどの程度重要ですか。

良い収入を得る機会

自分の能力を活かす機会

自分の能力を発展させる機会

子供へのより良い教育

生活状況改善のための機会

身の安全の確保

社会保障の充実

水、電気、ガスといったライフライン事情

住居事情

学校、病院といった社会インフラ事情

市場・物流の稼働状況(物資入手に係るアクセシビイリティ)

家族、親戚、友人、知人がいること

家族との同居

プライベートな居場所が必要

(転居先の)文化があなたの文化に近いこと

(転居先で)用いられている言語があなたの母語であること

宗教的帰属

シリアでの政治移行

自由な出入国

戦闘に参加しなくていいという保障

平均値(「非常に重要である」を5点、「重要である」を4点、「普通」を3点、「あまり重要でない」を2点、「全くまったく重要でない」を1点、「分からない/無回答」を欠損値として算出)

A.13. シリアに戻ることをどの程度真剣に検討していますか。

A.14. シリアに戻る場合、以下の地域にどの程度住みたいですか。

シリア政府支配地地域

緊張緩和地帯に設定されている反体制派支配地域

緊張緩和地帯に設定されていない反体制派支配地域

クルド民族主義勢力支配地域

その他

平均値(「非常に戻りたい」を5点、「戻りたい」を4点、「普通」を3点、「あまり戻りたくない」を2点、「あまり戻りたくない」を1点、「分からない/無回答」を欠損値として算出)

人口統計

D.04.1. この住宅に何年前から居住していますか。

D.04.2. シリアで危機が発生(2011年)して以降、現住所を選択するまでに何回転居しましたか。

D.04.3. 最初に転居したのはいつですか。

D.05. 出生地はどこですか?

D.06.1 あなたを含め、同居しているのは何人ですか。

D.07. 現在の社会的状況はどのようなものですか。

D.08. あなたの宗派的帰属は何ですか。

D.09. 以下の思想潮流にどの程度共鳴しますか。

アラブ民族主義

シリア国民主義

クルド民族主義

政治的イスラーム

リベラリズム

部族主義

世俗主義

平均値(「非常に共鳴する」を5点、「共鳴する」を4点、「普通」を3点、「あまり共鳴しない」を2点、「まったく共鳴しない」を1点、「分からない/無回答」を欠損値として算出)

D.10.1. 母語は何ですか。

D.10.2 母語以外の言語で、以下の諸語の理解力と知識(読み書き)はどの程度ありますか。

非アラビア語母語話者

非ペルシャ語母語話者

非トルコ語母語話者

非クルド語母語話者

非英語母語話者

非フランス語母語話者

D.11. 最終学歴は何ですか。

D.12. あなたは:

D.13.1. 現在の職業について答えて下さい(複数の職業に就いている場合は、もっとも重要な職について答えて下さい)。職業の職種は何ですか。

D.13.2. 役職はどのようなものですか。

D.13.3. 雇用主は誰ですか。

D.13.4. どの産業部門で働いていますか。

D.13.5. どのような経済活動に従事していますか。

D.13.6. いつから現在の仕事についていますか?

D.13.7. 以下は月収額を分類したものです。あなたの収入はどれに属しますか。給与、年金、そのほかの収入を含めた過去1年の平均を答えて下さい。