ポスト紛争社会の政治動員と投票率の関係

日本選挙学会ポスターセッション

2019年7月14日10時~11時30分

要旨

ポスト紛争国に導入された選挙において、政治動員は投票参加にいかなる影響を与えるのだろうか。民主化などの大きな体制変動や紛争後の出発選挙では、おおむね投票率が高くなる傾向が認められ、その後次第に下がっていくことが多い_。こうした社会では、どのような場合、投票率があがり、いかなる条件で投票率が下がるのだろうか。政治動員はそれにいかなる影響を与えるのだろうか。
本報告では、大きな体制変動の後に紛争を経験したイラクを事例に、政治動員と投票参加の関係を、フィールドサーベイ実験によって明らかにすることを目指す。先行研究では、おおむね動員が投票率を引き上げるとの主張が支持されている。
イラクのようなポスト紛争社会においては、選挙での政治動員が投票参加にどのような影響を及ぼすのだろうか。本報告で取り組みたいのは、この問題である。
この問題を解明するために、IS(イスラーム国)が掃討された後の2018年議会選挙に着目し、政治動員が投票率に与える影響を明らかにし、いかなる条件で投票率が上がる/下がるのかを考えたい。

報告者

  • 浜中新吾(龍谷大学)
  • 山尾大(九州大学)

 

 

山尾大訳「「イラク世論調査(イラク2017)」単純集計報告書」(CMEPS-J Report No. 48)

山尾大編「2017 Opinion Poll in Iraq: Sampling Method and Descriptive Statistics」(新学術領域研究「グローバル関係学」オンライン・ペーパー・シリーズNo. 4/リサーチ・レポートNo. 2)の日本語概訳版「「イラク世論調査(イラク2017)」単純集計報告書」(CMEPS-J Report No. 48)を CMEPS-J Reportsな刊行物で公開しました。

CMEPS-J Reports

 

山尾大編「2017 Opinion Poll in Iraq: Sampling Method and Descriptive Statistics」

山尾大編「2017 Opinion Poll in Iraq: Sampling Method and Descriptive Statistics」(新学術領域研究「グローバル関係学」オンライン・ペーパー・シリーズNo. 4/リサーチ・レポートNo. 2)が2018年12月30日に新学術領域研究「グローバル関係学」のホームページで公開されました。

主な刊行物

公開シンポジウム「「アラブの心臓」に何が起こったのか:現代中東の実像を捉える」

イスラーム国(IS)の猛威が去った今も、「アラブの心臓」と呼ばれる諸国を中心に、中東では政治的な混乱が続いています。本シンポジウムでは、青山弘之編『「アラブの心臓」に何が起きているのか:現代中東の実像』(岩波書店, 2014年)の執筆者たちが、刊行後のフォローアップとして、最新の研究成果を踏まえながら、今の中東の実像と将来の展望を語ります。

日時

2019年1月12日(土曜日) 13:00~17:00(開場12:30)

場所

立命館大学衣笠キャンパス 創思館カンファレンスルーム(定員140名)

プログラム

13:00-13:10 趣旨説明
13:10-13:30 シリア—黙殺される復興 青山弘之(東京外国語大学)
13:30-13:50 エジプト—「安定」は虚像か実像か?  横田貴之(明治大学)
13:50-14:10 シリア—イスラーム過激派の衰退 髙岡 豊(中東調査会)
14:10-14:30 イラク—宗派対立の拡大条件 山尾大(九州大学)
14:30-14:40 休憩
14:40-15:00 レバノン—「決めない政治」をやめるフリをすることを「決める」 末近浩太(立命館大学)
15:10-15:30 ヨルダン—ハーシム家レジームの清算と継承 吉川卓郎(立命館アジア太平洋大学)
15:30-15:50 イスラエル—法の精神として現前するナショナル・アイデンティティ 濱中新吾(龍谷大学)
15:50-16:00 休憩(時間調整)
16:00-16:50 総合討論
報告者7名
討論者: 岩坂将充(同志社大学)
討論者: 今井宏平(アジア経済研究所)
16:50-17:00 閉会

主催(共催)

  • 科学研究費補助金・新学術領域研究(研究領域提案型)「グローバル関係学」計画研究B02「越境的非国家ネットワーク:国家破綻と紛争」(研究代表者:末近浩太)
  • 科学研究費補助金・基盤研究(A)「東アラブ地域の非公的政治主体による国家機能の補完・簒奪に関する研究」(研究代表者:青山弘之)
  • 科学研究費補助金・基盤研究(B)(海外学術調査)「現代中東におけるイスラーム主義運動の動向と政治的帰結に関する比較理論研究」(研究代表者:末近浩太)
  • 立命館大学国際地域研究所プロジェクト「中東地域研究の新たなパラダイム構築に向けて:宗教と政治の絡み合いを再考する」(研究代表者:末近浩太)
  • 龍谷大学社会科学研究所共同研究プロジェクト「中東諸国民の国際秩序観」(研究代表者:濱中新吾)