現代中東研究コロキアム特別シンポジウム「第X次中東戦争はなぜ続くのか?:イスラエルとハマースの戦闘開始から1年」を開催

2024年10月6日(日)、現代中東政治研究ネットワーク(CMEPS-J)と立命館大学中東・イスラーム研究センター(CMEIS)の主催による現代中東研究コロキアム(Contemporary Middle Eastern Studies Colloquium)」特別シンポジウム「第X次中東戦争はなぜ続くのか?:イスラエルとハマースの戦闘開始から1年」を東京外国語大学本郷サテライト4階セミナールーム、立命館大学朱雀キャンパス(京都二条キャンパス)中川会館202、Zoomミーティングにてハイブリッド開催しました。

250人以上の登録があったシンポジウムは、2部構成で行われ、錦田愛子氏(慶應義塾大学)、浜中新吾氏(龍谷大学)の司会進行のもと、第1部「忘れ去られたパレスチナ・イスラエル紛争、アラブ・イスラエル紛争」ではパレスチナ、イスラエル、ヨルダン、シリア、レバノン、エジプトの政治を専門とする6名の研究者が報告を行いました。

    • 鈴木啓之(東京大学)「パレスチナ 現実的解決の終焉」
    • 辻田俊哉(大阪大学)「イスラエル トリレンマを抱える国家にとっての選択」
    • 渡邊駿(日本エネルギー経済研究所中東研究センター)「ヨルダン 管理されたパレスチナ連帯」
    • 青山弘之(東京外国語大学)「シリア 前線国家、緩衝国家にとっての生存戦争」
    • 末近浩太(立命館大学)「レバノン 「ヒズブッラーの戦争」とその内政への影響」
    • 横田貴之(明治大学)「エジプト 「血と硝煙の匂い」に隣接する地域大国」

第2部「第X次中東戦争として捉える紛争」では、イラン、イエメン、イラク、アラブ湾岸諸国、トルコの政治、イスラーム過激派の動静を専門とする6名の研究者が報告を行いました。

    • 坂梨祥(日本エネルギー経済研究所中東研究センター)「イラン 世論を二分するパレスチナ支援」
    • 田智聡(防衛研究所)「イエメン 統治のための戦争:戦略的エスカレーションとフーシー派の戦争言説を巡る変容」
    • 吉岡明子(日本エネルギー経済研究所中東研究センター)「イラク 抵抗の枢軸があぶりだす安全保障政策の矛盾」
    • 近藤重人(日本エネルギー経済研究所中東研究センター)「アラブ湾岸諸国 国ごとに異なるイスラエル、パレスチナへの対応」
    • 今井宏平(JETROアジア経済研究所)「トルコ 「巻き込まれる恐怖」とムスリムの盟主の責任感の間で揺れる地域大国」
    • 髙岡豊(東京外国語大学)「イスラーム過激派 「イスラーム国」もアル=カーイダもイスラエルと戦わない」

第1部と第2部での報告終了後、参加者を交えたかたちで質疑応答が行われました。

現代中東研究コロキアム特別シンポジウム「第X次中東戦争はなぜ続くのか?:イスラエルとハマースの戦闘開始から1年」

ハマースが「アクサー大洪水」奇襲作戦を敢行し、ガザ地区を中心に激しい戦闘が始まってから、10月7日で1年となります。ガザ地区の惨状が、悲しみ、怒り、無力感、そして恐れをかき立てる日々は今も続いており、ハマースとイスラエルの一挙手一投足に多くの関心が寄せられています。

しかし、この紛争は、ハマースとイスラエルだけの争いではなく、ガザ地区も戦場の一つに過ぎません。実態は、アラブ・イスラエル紛争の当事者である周辺アラブ諸国、イラン、サウジアラビアやイエメンといったアラビア半島諸国、トルコ、欧米諸国、そして中東で勢いを増す非国家主体をも当事者とする地域紛争、あるいは国際紛争で、これらの当事者の思惑が複雑に絡み合うことで、事態収拾が困難なものとなっています。

本シンポジウムでは、中東政治を専門とする研究家が、政治学や地域研究といった手法を駆使して、矮小化して理解されがちなこの紛争の全体像を捉え、紛争が止まない理由を冷静且つ冷徹に解明します。

日時

2024年10月6日(日曜日)13:30~18:00頃

会場(開催形式)

以下2会場とZoomミーティングによるハイブリッド開催

    • 東京会場:東京外国語大学本郷サテライト4階セミナールーム
    • 京都会場:立命館大学朱雀キャンパス(京都二条キャンパス)中川会館202

(参加無料:要事前登録)

プログラム

    • 13:30-13:40 開会

第1部 忘れ去られたパレスチナ・イスラエル紛争、アラブ・イスラエル紛争

    • 13:40-13:55 鈴木啓之(東京大学)「パレスチナ 現実的解決の終焉」[東京会場]
    • 13:55-14:10 辻田俊哉(大阪大学)「イスラエル トリレンマを抱える国家にとっての選択」[京都会場]
    • 14:10-14:25 渡邊駿(日本エネルギー経済研究所中東研究センター)「ヨルダン 管理されたパレスチナ連帯」[東京会場]
    • 14:25-14:40 青山弘之(東京外国語大学)「シリア 前線国家、緩衝国家にとっての生存戦争」[東京会場]
    • 14:40-14:55 末近浩太(立命館大学)「レバノン 「ヒズブッラーの戦争」とその内政への影響」[京都会場]
    • 14:55-15:10 横田貴之(明治大学)「エジプト 「血と硝煙の匂い」に隣接する地域大国」[東京会場]
    • 15:10-15:30 質疑応答+休憩

第2部 第X次中東戦争として捉える紛争

    • 15:30-15:45 坂梨祥(日本エネルギー経済研究所中東研究センター)「イラン 世論を二分するパレスチナ支援」[東京会場]
    • 15:45-16:00 田智聡(防衛研究所)「イエメン 統治のための戦争:戦略的エスカレーションとフーシー派の戦争言説を巡る変容」[東京会場]
    • 16:00-16:15 吉岡明子(日本エネルギー経済研究所中東研究センター)「イラク 抵抗の枢軸があぶりだす安全保障政策の矛盾」[東京会場]
    • 16:15-16:30 近藤重人(日本エネルギー経済研究所中東研究センター)「アラブ湾岸諸国 国ごとに異なるイスラエル、パレスチナへの対応」[東京会場]
    • 16:30-16:45 今井宏平(JETROアジア経済研究所)「トルコ 「巻き込まれる恐怖」とムスリムの盟主の責任感の間で揺れる地域大国」[東京会場]
    • 16:45-17:00 髙岡豊(東京外国語大学)「イスラーム過激派 「イスラーム国」もアル=カーイダもイスラエルと戦わない」[東京会場]
    • 17:00-18:00 質疑応答+全体討論+閉会

司会進行

    • 錦田愛子(慶應義塾大学)[東京会場]
    • 浜中新吾(龍谷大学)[京都会場]

参加登録

Googleフォームよりご登録ください。
https://x.gd/e0CWv(登録締切:10月4日)

オンラインで参加される方には10月5日にZoomミーティング情報をメールにてお知らせします。

問合先

biladalsham@tufs.ac.jp

主催

    • 現代中東政治研究ネットワーク(CMEPS-J)
    • 立命館大学中東・イスラーム研究センター(CMEIS)

共催

    • 科研費基盤研究(A)「歴史的シリアにおける国家変容の研究:混合的手法による新たな中東地域研究の開発」(研究代表者:末近浩太 課題番号:23H00043)
    • 科研費基盤研究(B)「現代中東における「政治の宗教化」と「宗教の政治化」:ムスリム同胞団の比較事例研究」(研究代表者:横田貴之 課題番号:23H03629)
    • 科研費基盤研究(B)「現代外交における軍事力の効用:通時的・共時的アプローチによる中範囲理論の構築」(研究代表者:溝渕正季 課題番号: 23H00791)
    • 科研費基盤研究(A)「中東諸国民の政策選好と統治の正統性」(研究代表者 浜中新吾 課題番号:22H00055)
    • 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))「危機下の東アラブ諸国における社会的レジリエンスの実証研究:ヨルダンの事例から」(研究代表者:末近浩太 課題番号:22KK0018)
    • パレスチナ/イスラエル研究会
    • 中東・イスラーム地域研究院生研究会(Graduate Student Society for Middle Eastern and Islamic Area Studies:GSMEIAS)

「現代中東研究コロキアム(Contemporary Middle Eastern Studies Colloquium)」第5回研究会開催

2023年1月13日(月)、現代中東政治研究ネットワーク(CMEPS-J)と立命館大学中東・イスラーム研究センター(CMEIS)の主催による「現代中東研究コロキアム(Contemporary Middle Eastern Studies Colloquium)」第5回研究会がオンラインで開催され、研究者ら約30名が参加しました。

第5回研究会では、東京外国語大学教授の青山弘之氏の進行のもと、九州大学准教授の山尾大氏が「乖離する安全保障の認識と紛争の継続:イラク主要紙とTwitterの計量テキスト分析から」と題して報告を行い、質疑応答が行われました。



後半は中東専門家の髙岡豊氏の進行のもと、東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程在籍の木戸皓平氏が「紛争下のシリアで非国家主体が果たした役割の変化」と題して報告を行い、質疑応答が行われました。

「現代中東研究コロキアム(Contemporary Middle Eastern Studies Colloquium)」第5回研究会のご案内(2023年2月13日)

 

以下のとおり、2023年2月13日(月)に「現代中東研究コロキアム(Contemporary Middle Eastern Studies Colloquium)」第5回研究会を開催いたします。全体討論の時間も設けておりますので、良いディスカッションの場になれば幸いです。

皆さまのご参加をお待ちしております。

日時:2023年2月13日(月) 15:00~19:00頃まで

場所:Zoomにてオンライン開催(参加無料:要事前登録)

15:00 開会
15:10~16:10 報告1:山尾 大(九州大学大学院比較社会文化研究院)「乖離する安全保障の認識と紛争の継続:イラク主要紙とTwitterの計量テキスト分析から」
16:10~17:10 報告2:木戸 皓平(東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程)「紛争下のシリアで非国家主体が果たした役割の変化」
(休憩)
17:20~ 全体討論

参加登録:Googleフォームよりご登録ください。
(登録締切:2023年2月11日)
https://forms.gle/8Q5NniF1JF9MgnQJ6

問合先:s-nino38 [a] fc.ritsumei.ac.jp
(担当:二宮【立命館大学中東・イスラーム研究センター】)

主催:
現代中東政治研究ネットワーク(CMEPS-J)
立命館大学中東・イスラーム研究センター(CMEIS)

共催:
科研費基盤研究(A)「東アラブ地域の非公的政治主体による国家機能の補完・簒奪に関する研究」(研究代表者:青山弘之 課題番号:18H03622)
科研費基盤研究(B)「計量テキスト分析を用いた現代中東における新たな政治的動員に関する実証研究」(研究代表者:末近浩太 課題番号:19H04374)
科研費基盤研究(B)「現代中東における政治と宗教:「アラブの春」以降のムスリム同胞団を事例に」(研究代表者:横田貴之 課題番号:19H04370)
科研費基盤研究(B)「権威主義体制における分配政治の変容とアカウンタビリティ改革:中東諸国の比較研究」(研究代表者:石黒大岳 課題番号:19H01454)

青山 弘之編(横田 貴之・髙岡 豊・山尾 大・末近 浩太・吉川 卓郎・錦田 愛子)『「アラブの心臓」に何が起きているのか:現代中東の実像(復刻版)』

2014年12月18日に岩波書店より出版された『「アラブの心臓」に何が起きているのか:現代中東の実像』(ISBN:9784000220842、体裁:四六 ・ 並製 ・ カバー ・ 242頁)の内容を一部改訂し、HTMLに変換した復刻版を主な刊行物で公開しました。

混迷するシリア:歴史と政治構造から読み解く(復刻版)

現代中東研究コロキアム(Contemporary Middle Eastern Studies Colloquium)(仮)研究会

現代中東政治研究ネットワーク(CMEPS-J)と立命館大学中東・イスラーム研究センター(CMEIS)は、デュアルプラットフォームで「現代中東研究コロキアム(Contemporary Middle Eastern Studies Colloquium)」(仮称)を設立いたします。

日本における現代中東研究、特に政治分野の研究を推進・発展させるための機能は、「メカ研」と総称される一連の研究プロジェクト(「現代中東における国家運営メカニズムの実証的研究と地域間比較」研究会(2006~2007年度)、「中東諸国家運営メカニズムの普遍性と特殊性の抽出」(2008~2009年度)、「中東地域における経済自由化政策をめぐる受容と抵抗:比較政治研究」(2010~2011年度))が2013年に終了して以降、実質的には各研究者の携わる科研などの競争的資金に委ねられておりましたが、ここに分野・地域間の対話を今一度活性化することでさらなる研究の展開を目指したいと思います。また、次世代(若手)の現代中東研究者を後押しするための機会と場を設けることで、アカデミアでの認知度のアップやキャリア支援ができればと考えています。

日時

    • 2021年11月21日(日) 15:00~18:00

場所

    • 北海学園大学(使用する会議室については調整中)とzoomでのオンラインとのハイブリッド

参加者(50音順)

    • 青山弘之(東京外国語大学)
    • 今井宏平(JETROアジア経済研究所)
    • 岩坂将充(北海学園大学)
    • 吉川卓郎(立命館アジア・太平洋大学)
    • 末近浩太(立命館大学)
    • 髙岡豊(東京外国語大学)
    • 錦田愛子(慶應義塾大学)
    • 濱中新吾(龍谷大学)
    • 溝渕正季(広島大学)
    • 松尾昌樹(宇都宮大学)
    • 山尾大(九州大学)
    • 横田貴之(明治大学)

主催

    • 現代中東政治研究ネットワーク(CMEPS-J)
    • 立命館大学中東・イスラーム研究センター(CMEIS)
    • 科研費基盤研究(A)「東アラブ地域の非公的政治主体による国家機能の補完・簒奪に関する研究」(研究代表者:青山弘之 課題番号:18H03622、およびミネルヴァ書房からの成果公開における寄稿者)
    • 科研費基盤研究(B)「権威主義体制における分配政治の変容とアカウンタビリティ改革:中東諸国の比較研究」(研究代表者:石黒大岳 課題番号:19H01454)

共催

    • 科研費基盤研究(B)「計量テキスト分析を用いた現代中東における新たな政治的動員に関する実証研究」(研究代表者:末近浩太 課題番号:19H04370)
    • 科研費基盤研究(B)「現代中東における政治と宗教:「アラブの春」以降のムスリム同胞団を事例に」(研究代表者:横田貴之 課題番号:19H04370)

議事

研究報告(15:00~16:15)

    • 末近浩太・山尾大「「アラブの春」後のリビアにおける国家再建と民主化:2019年実施の世論調査の結果から(仮)」
    • 全体討論

コロキアムの運営方針、全体および各自の研究進捗状況の確認と意見交換(16:30〜17:30)

今後の方針について(17:30〜18:00)

    • 2022年度の国内外発表および投稿計画等

 

 

ポスト紛争社会の政治動員と投票率の関係

日本選挙学会ポスターセッション

2019年7月14日10時~11時30分

要旨

ポスト紛争国に導入された選挙において、政治動員は投票参加にいかなる影響を与えるのだろうか。民主化などの大きな体制変動や紛争後の出発選挙では、おおむね投票率が高くなる傾向が認められ、その後次第に下がっていくことが多い_。こうした社会では、どのような場合、投票率があがり、いかなる条件で投票率が下がるのだろうか。政治動員はそれにいかなる影響を与えるのだろうか。
本報告では、大きな体制変動の後に紛争を経験したイラクを事例に、政治動員と投票参加の関係を、フィールドサーベイ実験によって明らかにすることを目指す。先行研究では、おおむね動員が投票率を引き上げるとの主張が支持されている。
イラクのようなポスト紛争社会においては、選挙での政治動員が投票参加にどのような影響を及ぼすのだろうか。本報告で取り組みたいのは、この問題である。
この問題を解明するために、IS(イスラーム国)が掃討された後の2018年議会選挙に着目し、政治動員が投票率に与える影響を明らかにし、いかなる条件で投票率が上がる/下がるのかを考えたい。

報告者

  • 浜中新吾(龍谷大学)
  • 山尾大(九州大学)